EXO スホ「青春の終わりは、夢を失った瞬間」

いくら手を伸ばしても届かないようなファンタジーな感じがEXOにはある。一寸の乱れもないシャープな群舞、完成度の高いパフォーマンス、少女漫画から飛び出してきたような面々。そんなEXOのリーダースホことキム・ジュンミョンにとって、映画「グローリーデイ」は人々との距離を縮めるための第一歩となるであろう。「グローリーデイ」は24歳の日常が「グルーミーデイ」へと移り変わる様子を冷静に収めた映画。劇中、おばあさんと二人で暮らす貧しい二十歳の青年サンウを演じたスホは、舞台の上での派手なメイクを消して、澄んだ顔でスクリーンと向き合った。この若者の未来はより興味深くなる予定である。

―EXOのファンならば「グローリーデイ」は見ていられないほど辛いと思います。「“私のスホ”がこんなに可哀想な姿に出てくるだなんて」となるでしょう。ファンの反応はどうですか?

スホ:「悲しい!」「大人に腹が立つ!」など、頭に来るという話をよく耳にします。

―「グローリーデイ」のメッセージはきちんと伝わったということですか?

スホ:はい。ファンの皆様に映画が伝えようとしたメッセージがちゃんと届いてくれたようです。僕もサンウを演じましたが、第三者の立場から見るととても可哀想でした。大人たちの強圧に抑えられ、黒く染まっていく青春に心が痛みました。

―「グローリーデイ」は青春という言葉が持つ夢や希望を完全に除いて、そこに社会的不条理や脅かされる友情を描いた映画です。映画を見ていると、韓国の社会で青春時代を経た人は、皆が被害者であり、加害者だという気がしますね。

スホ:その通りです。特に大人たちの姿が映画でとても現実的に描写されたようです。実話ではないだけであって、現実でも十分に起き得ることではないかと思います。サンウが可哀想ではありましたが、彼の不幸は誰のせいでもないと思いました。誰かを指差しながら「あの人が悪い」とは言えないと思いました。他人に責任を転嫁しようとする利己心は、私たちの社会全般に知らず知らず広まっているからです。

―システムの問題だと?

スホ:話がちょっと大きくなりましたが、僕は社会批判しているのではありません(笑) だけど考えてみれば、EXOは社会批判的な歌「MAMA」でデビューしましたね。

―ファンにとても重要な役割をしているのと同じです。

スホ:ははは。だけど、僕もそうですが、利己心と責任を転嫁する心は皆に隠されているじゃないですか。「グローリーデイ」はそれを暴くような映画です。

―今年で26歳(数え年)ですが、自分で大人だと思いますか? そして利己的だとおっしゃいましたが、どんなときに自分が利己的だと感じますか?

スホ:青春を定義するのに年齢は重要ではないと思います。夢を失った瞬間、青春は終わると思います。その瞬間、大人になるのでしょう。そして僕が自分を利己的に感じるときは、たくさんありますね。とても多いんですが……うーむ……。

―頑張って探さなくてもいいですよ(笑)

スホ:いやあ……利己的なんですが……思い出せばお話しいたします(笑)

―夢を失った瞬間、大人になるとおっしゃいましたが、どこか大人に対して否定的な考えを持っているようにも感じますね。

スホ:僕は中学校3年生の頃から練習生生活をしました。それだけ仕事でお会いした大人の方がたくさんいますが、自分の職業に愛着もなく責任感もない大人が少なくないように見えました。だから大人に対する否定的な考えを持つようになったのかもしれません。 (頭を掻きながら) ああ、こう言うと周りを傷つけることになりますか?

―十分そう考えられると思います。競争率の激しいアイドル産業に早くから足を踏み入れていたので、色んなことを見て感じたことでしょう。

スホ:確実なことは、自分が受け持った仕事に責任を果たさなければならないことです。僕が舞台挨拶をするのも、このようにインタビューを受けるのも、この映画を撮った主演俳優として当然持つべき責任なのです。EXOのリーダーとしてグループをまとめることも当然やります。

―それだと、キム・ジュンミョンという一人の人間はいないじゃないですか。いつもEXOのスホ、俳優キム・ジュンミョンとして生きていると。

スホ:だけど、与えられた仕事に責任を持って生きることもまた僕じゃないですか。

―利他的ですね(笑)

スホ:はは、それは違いますよ……僕の映画だし僕のモノだから、こうするんじゃないでしょうか? これは利己的なことなんです!(笑)

―人と会うとき、ただの“キム・ジュンミョン”ではなく、あなたを見つめるファンがいることを意識するようになる感じじゃないですか?

スホ:社会への影響が大きい仕事をしている身として、模範を見せなければならないという考えが強いです。人々の前や記者の前で、ファンを考えながら話をすることは当然だと思います。だから友達との時間が僕にとって重要です。友達といる時はEXOのスホでも俳優キム・ジュンミョンでもない、ただの人間のキム・ジュンミョンだからです。そのような時間が常に必要だと思います。

―デビューのはじめに比べて柔らかくなったと言われていますね。

スホ:デビュー当初は先輩たちやテレビ局の方に接するのがとても難しいと思っていました。硬直するしかなかったんです。EXOのリーダーという名の下、失敗してはいけないという考えが刻まれていました。そうするうちに愉快でウィットに富み、違う見方をすれば滑稽なこともできる人間キム・ジュンミョンの姿をかなり隠して来たのではないかと思います。そして演技を考え始めてから少しずつ変わっていったと思います。俳優としては、馴染みやすい俳優になりたかったからです。神秘的ではなく、率直な姿をお見せしたいですね。

―ところで、EXOは全員そうなんですか? 先日「純情」でディオと会った時も感じていたことなんですが、予想とは違いまじめだったので驚いていたところです。EXOのメンバー皆がそうなんでしょうか、私が会ったお二方が特にそうなんですか?

スホ:恐らく、お会いした僕たち二人が特に……(一同爆笑) 他の子もそうじゃないとは言えませんが、ディオと僕は特にそうです。だから仲が良いほうです。考え方が色々と似ています。

―“BYH48”と言うんですよね?(笑) あなたの変化には“BYH48”の影響もあったのではないですか?

スホ:良く知られているBYH48は、ピョン・ヨハン、イ・ドンフィ、リュ・ジュンヨル、ジス程度ですが、ミュージカルや演劇で端役をしている友達も仲間にいます。まだ色々と知られてはいませんが、いつかスポットライトを当てられる友達です。人間キム・ジュンミョンの姿を色々と見せることになったきっかけも、このグループとの接触が頻繁になってからです。デビュー当初は門限があり、宿舎の外に出かけることもできませんでした。

―あ、門限があったんですか?

スホ:今はもうありません。

―いつなくなったのですか?

スホ:2年前に。門限は深夜0時でした(笑) 門限があった理由は、外泊すると危ないということで。だから外泊は新人にとっては危ないことなのかもしれません。コントロールが難しいじゃないですか。

―EXOのメンバー全員、門限をきちんと守っていましたか?

スホ:もちろんですよ! ちゃんと守っていました(笑)

―また話を戻しますが、“BYH48”についてお尋ねします。新たな傾向の出現と言うとちょっと大げさになりますか? これまでの先輩役者とは確かに違う感じです。酒の代わりにお茶を飲みながら絆を深めるのも新鮮ですし(笑)

スホ:ははは。カフェに行って最後は必ずヨハン兄さんの家に行きます。僕たちは酒を飲みません。「グローリーデイ」のVIP試写会の打ち上げでもビールを一杯しか飲みませんでした。不思議にも周りの俳優4人全員共です。ジュンヨル兄さんは体の管理をしているから飲まなくて、ジスとヒチャンと僕はお酒自体もともと飲めません。これまで酒を沢山飲んだ記憶はありません。

―それでは、コーヒーはどんなコーヒーを?

スホ:実はコーヒーも飲みません。代わりに僕は(前に置いてあったお茶を手に取り)柚子茶……(一同爆笑)

―突然気になりましたが、スホさんにも逸脱と呼べるようなことありましたか?

スホ:実際のところ反抗的な逸脱は一度もしたことありません。強いて言えば、去年ジスとアメリカに旅行しに行ったこと? あの時はとても自由を感じました。グランド・キャニオンに上ってシャツを脱いで走り回って(笑) 携帯に動画も撮って張り切って遊びました。

―携帯をなくしたら大変なことになりますね(笑)

スホ:上半身だけ脱いだので、まあ……(笑)

―別名は“エクジェルウ(EXOで一番笑える人)”だと聞きましたが、ちょっと意外ですね。

スホ:今はインタビューだから抑えているのです。

―あ、そうなんですか? 自分でもウィットに富んだ人だと思いますか?

スホ:も~ちろん~ですよ(一同爆笑)

―気づかなくてごめんなさい(笑) しかしどんなウィットですか?

スホ:相手の傾向を把握して、それに合わせて面白くしてあげるウィット?

―ファンもスホさんのウィットを知ってますか?

スホ:はい、僕の人生にはコントみたいな状況がいっぱい起こるんですが、それが偶然にファンのカメラに何度もキャッチされました。みんなで手を挙げて「ファイティング!」って叫ぼうとした瞬間、手を振り上げた拍子にカイが手に持っていたペットボトルに当たって宙に飛んでいったりとか。ダンスを踊っていたらベクヒョンとぶつかって仰天した僕の姿を撮られたり(笑)

―インタビューが終わったら早速探してみますね。EXOの「Growl」の歌詞にある「万が一のために警告するが、今は危険だ So Dangerous しきりに僕を刺激しないで 大変なことになる」を自分に置き換えたらどうですか?

スホ:僕は耐えに耐える方です。後で笑えるものが本当の笑いだと思っているんです。だから今、憤慨したり怒りがこみ上げても我慢します。後味悪くね!

―後味悪く? ああ、こういうユーモアなんですね(笑)

スホ:ははは、僕は後味を残しておくほうです。だからと言って復讐をするということじゃありません。

―平凡な会社員として年を取っていく想像をしたことありますか?

スホ:平凡さの基準はよく分からないけれど、そんなこと思ったことあります。僕は韓国芸術総合学校の演劇院演技科に通っていました。そうするうちにデビュー準備のために学校を自主退学しなければならない状況になり、すごく悩みました。『事務所に入らないでそのまま学校に通えば、僕の未来はどうなるだろうか』と。その時、博士号まで取得して演技科の教授をしたらどうだろうかとも考えました。結局は歌手活動を選択しましたが。自分の選択に後悔はありません。僕は自分自身を信じているんです。その信頼一つで生きているので、タイムマシンに乗って過去に戻っても僕の選択は同じでしょう。

―悪魔にあなたが持つ長点の一つを完全に渡さなければならないとすれば、何を放棄しますか?

スホ:ダメですよ! これ以上あげるものはありません。今でも足りないんですから(笑) 質問を変えてください。一つをあげて、一つもらえることに(笑) もらいたいのは色んな人と演技をするために背丈をもう少し……背が低いのが残念なんです。

―(笑) 本当に率直ですね。

スホ:そうですか? 少なくとも178㎝はなくちゃ。それだと男女誰とでもビジュアル的に合うはずなんです。だから顔がちょっと不細工になる代わりに背が伸びたらいいですね。たぶん背が低い方は僕の気持ちわかるはずですよ。

―ハリウッドスターの俳優トム・クルーズが170㎝です。背が低い有名な俳優もかなり多いですよ。

スホ:ある程度認められる役者になれば、自分中心にキャスティングが可能になるでしょうが、それまでは背の低さが俳優活動をするにおいて制約になるのではないかと思います。だから背が低い方も頑張って上手くいって欲しいです。

―今年で26歳。26歳についてどう感じていますか?

スホ:目標を達成するための一連の過程。その過程の中で自分を一杯に詰め込む時期。僕にとっての26はそうです。

記者 : ジョン・シウ、写真 : グ・ヘジョン、翻訳 : 前田康代