イ・シオン ― パン・ソンジェよりイ・シオン

イ・シオン ― パン・ソンジェよりイ・シオン

写真=TENASIA

彼はおしゃべりでおせっかいな人だ。その場の空気が読めず声だけ大きいが、彼がいれば、いつも楽しい。tvN「応答せよ1997」のパン・ソンジェの魅力は、妙に憎めないところにある。誰も指示してないのに、ソウルから転校してきた学生を釜山(プサン)の方言で先手を打ち“こんにちは”という挨拶一言で何十個のセリフを放つパン・ソンジェは、卓越したムードメーカーである。パン・ソンジェ役に魂を込めたイ・シオンにそのようなキャラクターと似た姿を期待するのは難しいことではない。「常に明るくて、おしゃべりなところは似ています」と自分で言わなくても、会話をしているマネージャーを見て、写真撮影をしながらも、白々しい声で「兄さん優しくしてあげて!」と叫ぶイ・シオンを見ていると、自然にパン・ソンジェのことが頭に思い浮かぶ。
「調子にのらず、自分のペースを守ろうとします」

イ・シオン ― パン・ソンジェよりイ・シオン

写真=TENASIA

しかし、祖母と二人きりになったとき、情に溢れるパン・ソンジェの後ろ姿から感じるように、イ・シオンにさらに近づけば近づくほど、彼のまた違う姿に出会うことができる。31歳の彼に最も重要なことは、簡単には調子にのらず、自分のペースを守ることだ。「作品がうまくいくと気分は良いけど、調子にのって浮かれるのではなく、落ち着こうとします。皆が言っていることに安心していて、突然その泡が消えたら、それをどう受け入れれば良いのか。僕は傷つきやすい人間です。全部自分のためです(笑)」自分を飾るより、現在の不安な気持ちを正直に打ち明けてくれた彼は、芸能人ではなく、遅れて社会に出て不安を持ちながらも、一歩ずつ前進する頼もしい若者に近い。誰かが教えたわけでもなく、特別なきっかけもないが、イ・シオンは現在の自分を冷静に評価する方法を学び、それが俳優として、男として言いたくない部分であっても自分を率直に打ち明けることに躊躇わない。「第13、14話では僕の出番が多かったのですが、すごく緊張しました。視聴率が下がったらいけないから、アハハハ」
今が常に新しいスタートである人

イ・シオン ― パン・ソンジェよりイ・シオン

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彼が簡単に成功と言い切れないのは、俳優という夢の重さを誰よりもよく知っているからだ。一度も演技を習ったことはないが“血が騒いで”挑戦することになった俳優業は、到達するまでには本当に大変な夢だった。「家で母が作ってくれるラーメンを食べることが好きだ」と言い、運動もせずに恥ずかしがり屋だった男の子が軍隊に行って、ソウル芸術大学入試を準備するまでにできたことは、自ら絶えず努力することだけだった。3年間ずっと演技関連の授業でA+を取ることだけを信じ、人々から注目されると恥ずかしくなるトラウマも乗り越えて、イ・シオンは一歩ずつ前に進んだ。“常に夢なのか、現実なのかを悩む俳優の世界”で彼がMBC「チング~愛と友情の絆~」でキム・ジュンホ役、SBS「ドクター・チャンプ」ではホテク役、「パラダイス牧場」の秘書役など、似たようなキャラクターを演じながらも「ペク・ドンス」で“わりと真面目なイメージへ変身”したことも、責任感をもって黙々と歩んできた結果である。「僕は、口に出したことは必ず守るようにしています。そんなことで非難されたくはありません」

そのため、イ・シオンにとっての今は明日のための踏み台でもある。「僕の考えで演技とは、錐(きり:大工の道具)みたいなものです。ポケットの中に錐を入れると、いつか突き出るでしょう。演技もそうです。一度演技をした人は、それを止めることができないんです。前進するだけです」簡単にうぬぼれたりはしないが、簡単に諦めたりもしない。今までそうやってきたように、彼には続けて歩いていく準備が整っている。「他の人が演技をしているところを見ると、血が騒いで止まらないんです。『あの役は僕にぴったりなのに』と思っているうちに、自分も知らないうちに動いているんです」今が常に新しいスタートである俳優、イ・シオンが今後見せてくれるものはなんだろうか。忘れずに彼に少しずつ水を注いだら、いつかパン・ソンジェではない、イ・シオンのまた違う姿が咲くだろう。
記者 : ハン・ヨウル、写真 : イ・ジンヒョク、編集 : チャン・ギョンジン、翻訳 : チェ・ユンジョン