クォン・ユルが語る「戦おう、幽霊」撮影現場の様子、俳優の理想像とは

映画「嘆きのピエタ」でのクォン・ユルを覚えているだろうか。役の名前もなく「その他の男」と呼ばれるほど小さな役だったが、作品に向き合ったクォン・ユルの目つき一つで「その他の男」の今後が気になった。

期待していたように、クォン・ユルは以降もしっかりと出演経験を積み、多様な演技を試みた。クォン・ユルにとって一番心に残っているのはtvN「優雅な女」でのチ・ソンギ、映画「INGtoogi: The Battle of Surpluses」のヒジュン、また「バトル・オーシャン/海上決戦」のイ・フェである。最近ではtvN「ゴハン行こうよ2」とMBC「もう一度ハッピーエンディング」で「ミルク男」というくすぐったいニックネームを得たりもした。もちろん、ここで終わりじゃない。

クォン・ユルは先日放映終了したtvN「戦おう、幽霊」で、悪い幽霊に憑りつかれたチュ・ヘソン役を担い、再度イメージチェンジに成功した。相変らずクォン・ユルの次が気になる。

―「戦おう、幽霊」が終わった。気分はどうか?

クォン・ユル:慣れない作品だった。CGも多くて役割もなじみがなく、僕だけでなく監督やすべての俳優、スタッフの方が苦労した。天気もとても暑くて疲れる日々の連続だったが、チームの雰囲気がとても和気藹々としていたので、互いに応援し合いながら終わらせた。スッキリするかと思っていたが、さびしく物足りなさも大きい。こんな真夏に撮影したのは初めてで、早く終わってほしいと思っていたが実際に終わったら名残惜しい。

―俳優同士の呼吸はどうだったか?

クォン・ユル:見てのとおり、(キム) ソヒョンも(オク) テギョンも、とても頑張る子たちと会った。僕たちのドラマの幽霊という素材のために、この子たちと上手く表現できるだろうかと心配したが、現場であらゆる事を投入し臨んだおかげで、一段とおもしろく表現できたようだ。皆ご苦労だった、立派だった。

―結末は満足しているか?

クォン・ユル:満足している。チュ・ヘソンができることは十分にやったと思う。

―チュ・ヘソンは「戦おう、幽霊」の放送前から、「ああ、私の幽霊さま」でのイム・ジュファンの役と比較されたりもした。

クォン・ユル:「ああ、私の幽霊さま」の放送中、映画の撮影をしていて観れなかった。どんな部分が似ているのか気にはなったが、自分の演技に集中するために意識はしなかった。ストーリーやポジションは似ていたとしても、クォン・ユルにしかない異なる点があったはずだ。寛大に見て下さると嬉しい。

―単純な悪人でなく、悪い幽霊に憑りつかれた人物を演じるのは難しくなかったか?

クォン・ユル:悪い幽霊がチュ・ヘソンの身体に入っているので、チュ・ヘソンを人と考えるべきか幽霊と考えるべきか悩んでしまう点が多かった。悪い幽霊ならば首を絞めて殺すのでなく目で殺したり、掌風(遠距離から衝撃波で打撃を与える中国の武術) で殺すこともできるはずなのに(笑) だがドラマでの緊張感については、全体的な流れを見たとき、悪い幽霊がその相手に近付いて首を絞める方法が、緊張感を漂わせる演出になるだろうと思った。パク・ジュンファ監督の演出に全面的に従って演じた。

―負担もあっただろう。

クォン・ユル:当然あった。ドラマの序盤には、チュ・ヘソンがどんな人物なのか説明されていなかったので、どうやったら緊張感を漂わせることができるか、試行錯誤ともいえない試行錯誤があった。パク監督とたくさん会話を交わした。チュ・ヘソンの目つきはジリジリと燃える目つきより、感情も感じられない冷たい目つきだった。例えば瞳孔を動かさないなど技術的にも努力した。チュ・ヘソンは序盤はやんわりとして優しい教授だったので、視聴者たちに悪い幽霊の姿を効果的に見せるために、シーンごとにパク監督と多くの話を交わした。「もう少しあごを引いたら良いかも」「口をもう少し開いて」など詳細な部分を互いに提案しあった。

―パク・ジュンファ監督への信頼がすごい。

クォン・ユル:パク監督に対する絶対的な信頼と確信がある。チュ・ヘソンは難しいキャラクターだったが、監督の見る演出の目は正確だと信じていたのでそのまま従った。僕ができることを見せると、監督がチョイスして付け加えたり削ったりもした。前作「ゴハン行こうよ2」でも監督と息を合わせたので、うまく疎通することができた。

―パク監督と2度目の作品だ。もしパク監督が次期作を提案をすれば引き受けるか?

クォン・ユル:もちろんする。どんな役柄でもやる。悪い幽霊もやったんだから(笑)「戦おう、幽霊」もパク監督だから出演を決めた。出演者の意見をよく取りまとめて下さる方だ。僕が準備してくることに対しても心を開いて見て下さる。ときどき現場で言葉を交わしながら、予想できない場面が作り出されたりもする。不思議なことに、視聴者の方がそんな場面を新鮮だと感じているそうだ。

―例えば、どんな場面がそうだった?

クォン・ユル:序盤に猫を殺す場面と、その姿を目撃した学生ノ・ヒョンジュを殺す場面がそうだ。台本には直接的な描写があったが、監督と全体的なニュアンスで表現できるように変えた。最後、顔の感じや一つのポイントで表現できるようにした。そのまま見せるよりも想像力を掻き立てるポイントを模索した。

―片手で人々を押さえつけるアクションシーンもすごかった。

クォン・ユル:おもしろかった。息が切れ汗も出て大変だが、躍動的な演技で喜びを感じた。アクションのノワール(犯罪映画) をやってみたいと思うほどだった。現場に来られる武術チームの方々の苦労はとても多かった。おかげでケガ人なしで撮ることができた。

―「戦おう、幽霊」の原作ウェプ漫画は読んでみた?

クォン・ユル:最初の部分だけ少し読んでみた。立派でおもしろい作品だが、原作を読むと、その残像で人々が予測できる演技をするんじゃないかと思い、最後まで読まなかった。まずどんな感じの人物なのかを把握して、後で台本と監督との対話を通じてキャラクターを新たに表現できるように集中した。明るくて軽快なドラマの中で、チュ・ヘソンが劇的な緊張感を引き出せるように気を遣った。

―ドラマの序盤、チュ・ヘソンは“ミステリアス男”として描かれた。隠された事情を初めから知っていた?

クォン・ユル:いいえ。幼い頃のトラウマで、悪い幽霊を受け入れた程度しか知らない。作品が進行するにつれてトラウマが何だか知るようになった。

―チュ・ヘソンの事情は、ほとんど過去の回想を通じて明らかになった。悪い幽霊でなく、人間のチュ・ヘソンを直接演技できず、物足りなさはなかった?

クォン・ユル:まず幼いチュ・ヘソンの友達がとても良くしてくれた。チュ・ヘソンは人間的な姿より、緊張感と神秘性を誘い雰囲気を圧倒しなければならない人物だったので、残念な点はない。その前に、彼を怖がる母親を見て落ち込むチュ・ヘソンを演じる場面もあったし、エピローグの部分でも表現した。

―記憶に残る場面を挙げるなら?

クォン・ユル:葬儀場の駐車場で、キム・サンホ先輩と初めて揉み合う場面が印象深かった。初めて僕が悪い幽霊であることを吐き出すシーンだった。先輩がくれるエネルギーが大きかったので、緊張もしたし非常に集中した。シーン自体はとてもよく出来た。気に入っている。

―作品が終わった後、キャラクターからなかなか抜け出せない俳優がいるが?

クォン・ユル:そういうタイプではない。ドラマのインタビューが好きで、記者と話を交わしながら、僕も一緒に第1話からその時の感情はどうで、今の感情はどうでと感情を整理する。キャラクターを客観化させてみたりも。

―色んな作品を通じて色んな演技をしてきたが、引き受けたキャラクターの中で今でも心に残っているのは?

クォン・ユル:視聴者の方からあまり関心を受けられなかった作品のキャラクターが、心にたくさん残っている。彼らが今の僕を作ったと思っている。何故かは分からないが、今思うのは「優雅な女」のチ・ソンギだ。劇中、寂しく生きていたので、僕自身の中に弱々しく残っている。

―俳優としての理想像があるならば?

クォン・ユル:個人的な願望があるとすれば、俳優として良い影響力を持つ人になりたい。具体的には、才能があるのに周囲の状況のせいで思う存分広げることができない人を助けたい。そうなるには俳優としても人間としても行くべき道は遠いし、与えられたことを一つ一つより上手くやるべきだという思いがある。

―実際の性格はどうか?

クォン・ユル:実際の性格は明るくて愉快な方だ。チュ・ヘソンのように、イケメンで多情多感な感じではない。周りは「ナイスだ」と言ってくれるが(笑) 僕はよく分からない。愉快でポジティブだ。実は甘い演技をするのが辛い。

―バラエティ番組に出演するつもりはないか?

クォン・ユル:チャンスを与えられても上手くできないスタイルだ。何度かバラエティをやってみたが難しかった。俳優はカメラがずっと回っていると、何でもやらなきゃという圧迫や負担を感じる。そのうち負担を減らし、余裕ができたら(バラエティを) やってみたい。

―次期作の計画はあるか?

クォン・ユル:一応慎重に考えている。自分にとって大変な挑戦になる作品を探したい。やってみたことのないことへの好奇心と願望がある。アクション・ノワールも良いし、愉快でハツラツとしたコメディもやってみたい。

―挑戦を恐れない性格みたいだ。

クォン・ユル:正解、不正解を問わず、難しい役柄を演じてみたいという気持ちがある。学びの真っ最中だし、殻を破ってみなければならない時だと思う。残念だという評価を聞くかもしれないが、傷つかず養分になるという思いで挑戦したい。

―最後に見守ってくれた視聴者たちに一言言うなら?

クォン・ユル:「戦おう、幽霊」を視聴して下さって感謝を申し上げたい。チュ・ヘソンという役柄が悪行を犯す悪い幽霊だったのに、支持と関心を送って下さり感謝している。クォン・ユルという俳優の新たな姿を新鮮に見て下さり、応援して下さったことに感謝しており、また近い将来今までとは異なる演技でご挨拶するので、たくさん期待してほしい。

 記者 : ソン・イェジ、翻訳 : 前田康代、写真 : ソ・イェジ