ユ・ジュンサン、前向きな力を知る俳優

彼が持つ前向きなエネルギーに魅了されたひと時だった。「歴史上の人物を演じることに負担はなかったか?」という質問に、ユ・ジュンサンは「その人物が残した足跡を辿ることができて良かった」と答え、「忙しく活動しているが大変ではないか?」と問えば、「舞台にさえ上がれば、平気になる」と答えた。すべての質問に彼は前向きに自分の所信を示した。情熱にあふれ、前向きなエネルギーがあふれるこの俳優は、難しいことも楽しい遊びに変え、絶えず続くインタビューも休憩時間にする力を持っている。

―映画の中で興宣大院君(フンソンデウォングン:政治家、李氏朝鮮末期の王族)を演じた。韓国でよく知られている歴史上の人物だが、そのような人物を演じることに対する負担はなかったか?

ユ・ジュンサン:負担というよりは、興宣大院君について勉強し、興宣大院君が残した足跡を探す旅が面白かった。今後、歴史上の人物を引き受けることになれば、今回のように旅をするようにその人物について知っていかなければならないと思った。

―カン・ウソク監督が俳優にわざと刺激する話をよくしていたと言ったが、特に要求されたことはあるか?

ユ・ジュンサン:監督が「蘭も自分で描かなければならない。そうしないとこのシーンも生かせない」と言われた。蘭を描くのは思ったより容易ではなかった。当時、蘭を描くのが一番上手かったと言われた興宣大院君だ。映画会社から水墨画の大家である先生を紹介してもらい、3ヶ月の間、週に三回慶州(キョンジュ)に行って、描き方を習った。面白いことに、監督は「こんなことを準備しろ」と明確におっしゃる。何をしなければならないのかも分からず準備するのとは全く違う。監督が要求したのは単なる蘭だったが、蘭を勉強しながら他のものも色々と勉強することになり、多くを得ることになった。そして監督がぽんと投げかけると、それからは自分の役割だ。蘭の上手い下手じゃなく、その過程が重要だ。

―カン・ウソク監督の作品は3本目だ。次にまたしようと言われたら出るつもりか?

ユ・ジュンサン:したい。だがもう少したくさん出番を与えてくれないといけないと思う(笑) そして、監督よりこうやって記者の方々を通じてアピールしなければならない。

―カン・ウソク監督は最初から出番はあまりないと話したと言うが?

ユ・ジュンサン:そうだ。それでも僕の方からしたいと話した。出番はどれくらいでも関係ないと思った。今回、興宣大院君を演じたことが、今後どんな考えを持って俳優生活するかという大きな流れを作ってくれた。興宣大院君について勉強し、彼を演じたことは、僕にとってすごく貴重な時間だった。

―カン・ウソク監督に対する信頼が厚いようだ。

ユ・ジュンサン:監督の20本目の作品だが、商業映画をされる方の中に、20本もの作品を作る方は殆どいない。今後もそう簡単に現れないと思う。監督はそのような時間の中で生じた映画に対する愛着と情熱を持って、一場面一場面に気を配りながら撮影される。映画の中に出てきた大院君の家も、一つ一つ全てに気を配り、必要なことだけを振り分けて徹底的に考証して作ったのだ。徹底して時間の準備をして、ある風景を撮るために1ヶ月近くも待つ。こういう待ち時間は、観客が知らない時間だ。だが、そのような真心は観客に伝わるものだと思う。別の見方をすれば、キム・ジョンホ先生(李氏朝鮮の実学者、地理学者。号は古山子)が監督みたいだ。監督もそのような職人の道を歩いている気がする。

―映画は全年齢向けだ。やはり(ユ・ジュンサンは)子供を育てる父親でもあるので、教育的な映画を撮らなきゃと心に決めたこともあるか?

ユ・ジュンサン:最近、子供たちを連れて説明してあげながら見られる映画はあるだろうかという思いがあった。そうした点で、この映画ほど老若男女関係なく、我が国(韓国)の風景と歴史について話ができる映画があるだろうかと思った。そして映画を準備しながら子供たちと大東輿地図(キム・ジョンホが1861年に完成させた李氏朝鮮の全国地図)も見に行って、博物館もあちこち通いながら楽しい時間を過ごした。

―チャ・スンウォンとは初めて息を合わせたが、どうだったか?

ユ・ジュンサン:良かった。結構、共にする人々との安らぎを大切に考える方なので、一緒に作り上げる立場として、とても良かった。チャ・スンウォンさんとは一歳しかかわらず、僕の中学校の後輩だ。だから特に親しくなくても親近感はあった。

―ユ・ジュンサンの知人の話を聞いてみると、皆が口を揃えて「いつも情熱にあふれている」「静かに休んでいるのを見たことがない」という。このように常に情熱にあふれていると、周りの人々が大変かもしれない。

ユ・ジュンサン:周りの人を疲れさせたりはしない。代わりに僕自身を疲れさせる。舞台でも後輩に色々と話しはせず、そのまま見せる。僕が練習する時に見せる姿を真似するのは大変かもしれない。だが、当然守らなければならないものだ。

―舞台の上ではエネルギッシュな姿をたくさん見せてくれるが、普段はどうなのか?

ユ・ジュンサン:良いエネルギーがなければ観客に良いエネルギーを伝えることはできない。だから、自分で体の管理をしなくてはいけないし、良い考えをしなければならない。最近は膝も痛いし、腰も痛い。公演中に眠たくなるし(笑) だが舞台にさえ上がれば、さっきまではそうだったのに平気になる。自分でも不思議なくらい。だけど次のシーズンからは週末に一回だけ公演しようっと(笑)

―継続的に映画、ドラマ、ミュージカルを併行してきているが、今後もそのような計画か?

ユ・ジュンサン:今になって僕が本来ミュージカル俳優であることを知ってくれたようだ。20年もやってきたのに(笑) 演劇やミュージカルはずっと長い間やってきたので手放したくない部分だ。舞台に立つことで俳優としての力を得る。ドラマ、映画の現場で良い演技をするために、舞台ほど良い訓練になるのものはない。公演は事前にプランができて、期間も空けておいて、残りの時間に映画やドラマで埋める。

―それでは一体いつ休めるのか?

ユ・ジュンサン:僕は絵を学ぶために慶州に行く時間も休憩時間だと思っていた。ただ準備しに行くだけだが、仕事だと考えればこれほど辛くなるものは他に何があるだろうか。今日もインタビューしに三清洞(サムチョンドン)に来たついでに、近所の美術館も行って。こうしたことが休憩時間だと考える。

―あちこちからオファーが来ることが多くなるが、負担になりはしないか?

ユ・ジュンサン:負担はない。全部が面白いからするだけだ。僕にどんな俳優になりたいかと尋ねられる時、いつも良い話を伝える俳優だと答えてきた。俳優は伝達者だ。話の伝達者として役割をしっかりやり遂げれば、それほどやりがいのあることはない。負担というより、どうやったら上手く面白く伝えられるかを悩んでいる。

 記者 : イ・ウンジン、写真 : チョ・ジュンウォン、翻訳 : 前田康代