イ・ボムス「演技こそ人間を探求できる最高の学問」

ソウル江南(カンナム)区新沙洞(シンサドン)CELLTRIONのオフィスで俳優イ・ボムスに会った。彼は昨年3月、株式会社CELLTRIONが設立した俳優専門プロダクション、テスピスエンターテイメントの代表を務めている。約1年6ヶ月が過ぎた今、イ・ボムスはいつの間にか俳優ではなく、別の“顔”にも慣れているようだった。

―現在は“信じて見られる俳優”“千の顔を持つ俳優”と呼ばれますが、俳優イ・ボムスの始まりはどうでしたか?

イ・ボムス:1990年の映画「そうだ、時々空を見よう」でデビューしました。当時はアルバイトや通行人などのエキストラでも構いませんでした。演技する機会があるだけでも幸せだった時期でした。最善を尽くして、自分にできる小さな目標を一つずつ達成しながら少しずつ成長していったようです。

―キャリア27年の俳優イ・ボムスが考える演技の魅力は何ですか?

イ・ボムス:演技こそ人間を探求できる最高の学問です。人間の欲望、夢、喜怒哀楽、興亡盛衰を全て含んでいます。良い本が人の人生を変えられるように、良い映画が、良いセリフ一言が、俳優の演技が、観客の人生を変える可能性もあるでしょう。だから演技をする前はいつも真剣になります。そうやって誇りを持って俳優生活をして既に27年です。

―最近の出演作「仁川(インチョン)上陸作戦」で、北朝鮮軍の仁川防御司令官リム・ゲジン役を演じました。映画「チャクペ~相棒~」と「神の一手」、ドラマ「ラスト」に続き、再び印象的な悪役を引き受けましたが。

イ・ボムス:負担を少し感じていました。ですが、「この前悪役をしたから、この作品はしないでおこう」とは考えません。かえって区別をしっかりつけて、前作とはまた異なる点を作れば良いだろうと考える方です。そのような挑戦あるいは冒険を楽しむほうです。リム・ゲジンもまた「チャクペ~相棒~」のチンピラの親分や「神の一手」のサルスと差別化を図ろうと努力しました。「神の一手」のサルスが蛇のようなイメージだとすると、リム・ゲジンはもう少しふてぶてしくて脂ぎったキャラクターで行きたかったんです。それで監督に話してちょっと太らせました。

―「仁川上陸作戦」は制作前や公開後で、色んな意見が入り乱れた作品です。この作品を選択した理由は何ですか?

イ・ボムス:普段から戦争映画を見るのが好きでした。だから、戦争映画に出演できる機会がくればいつでも出て行こうと思っていたところ、タイミングよく「仁川上陸作戦」のシナリオをいただいたんです。シナリオもおもしろかったですし、我々民族が実際に経験した話なので、それほど悩まずに出演を決めました。

―次回作を決めたと聞きました。どんな作品でしょうか?

イ・ボムス:1970年代、反体制学者の実話をベースにした「斜線で」という映画です。実際に韓国の国経済学者だった方の話を扱っています。1970年代に反体制の要人として目をつけられた経済学者が、北朝鮮からあなたの経済理論を北朝鮮人民のために使ってみないかと提案され、純粋にも北へ渡りますが、利用されるだけ利用される自身の境遇を悟り、再び自由主義陣営(資本主義国家側)に越えてくる話です。胸の痛む父親の愛も感じられる作品なので、今の状況ではさらに良いのではないかと思います。映画祭受賞も狙ってみたいです(笑)

―俳優イ・ボムスの次の姿が早くも楽しみになってきました。

イ・ボムス:今までは波が来ると倒れないようサーフボードの上でバランスをとることに集中する役者だったとしたら、数年前からは徐々に波を楽しむレベルになったと思います。経験を積んで年輪ができたんでしょう。今や波に乗る味が分かったので、もう少し乗ってみるつもりです(笑) 今後、新しいキャラクターであろうが、新しいジャンルであろうが、俳優イ・ボムスを待って下さるファンたちのために、いつも新鮮な姿をお見せできるように悩もうと思っています。「次、何を見せたらいいんだろう」と懸念する瞬間が来ないように、ですね。

 記者 : ユン・ジュンピル、翻訳 : 前田康代、写真 : ソ・イェジン