Vol.2 ― チャン・ヒョク「僕のキャラクターはまだ成長が止まっていないと思う」

―テギルの武術も歴史的な背景やテギルの環境を考えて決めたのか。テギルとテハの武術スタイルは明らかに違う。どのようにアプローチしたのか。

チャン・ヒョク:アクションは武術を担当する方々が作るけれど、僕はアクションで見せたいと思う部分があった。アクションと演技は繋がりが必要だし、俳優は自分がやるものについて方向性を持つべきだから。それで、監督や武術監督に相談しながら武術デザインをやってみたいと話した。「チュノ~推奴~」での武術の意味はキャラクターを見せる演技の一部だから。テハやチョルンがやっているのは伝統武術で、宮中で形と枠が組まれている武術をするとしたら、僕みたいなチュノ師は街の中で生き残るために武術を身につけたから、スタイルが違うのが当たり前だと思った。それでいて、チェ将軍とワンソンとも違ったスタイルである必要があるし。

「どんなにアクションがかっこよくても、感情を変に表現したら素敵に見えない」

Vol.2 ― チャン・ヒョク「僕のキャラクターはまだ成長が止まっていないと思う」

写真=TENASIA


―そういう部分が知りたかった。テギルは両班(ヤンバン:朝鮮時代の貴族)の息子出身だから、武術をちゃんと教わったことがなかったはずだと思ったから。テギルの武術はコンパクトで素早く、実戦性が目立つ。チャン・ヒョクさんが修練中であるジークンドー(截拳道)のように。

チャン・ヒョク:戦場で教わった武術と街中で教わった武術は違う感じを持つ。そして、当時の街は人が剣を持ち歩いた場所で、特にチュノ師の仕事をするというのは命を外に出して歩いているのと同じだ。そのため、毎日のように命がけで戦ったら、武術の形というものを持つことはできない。手に持ったものが長剣でも短刀でも石でも関係なく、戦って生き残ることだけが何よりだ。だから、チョン・ジホは石で人を殴ったりもする。テギルも全てのものを使うことが出来る必要がある。どんな状況に置かれるか分からないから。そして、両班の息子であった時は、安定した環境に恵まれて決まりきったことばかりやっていたが、生存のためには残酷さを持つことも必要だ。だから、雰囲気や剣を持つ姿から、少し夜叉のような感じもする。また、逆剣(剣を反対側に持つ姿勢)を取る時もあるし、剣を持っているが気軽に台詞を言う時もある。それほど、剣と一緒に生きてきたという感じが必要だ。そのため、僕がやっているジークンドーと似ているように思われる。ジークンドーは決まった枠組みを退け、本質的には生存するための武術だから。

―剣を持つアクションはどのように教わったか。

チャン・ヒョク:以前、乱切りの技を教わったことがある。そして、ジークンドーでは武器は武器とみなされない。剣を手に持ったら、武器を手にしたというより僕の手が長くなったという意味だ。そして、僕が「チュノ~推奴~」でやっている武術は、正確に言うとジークンドーでなく、詠春拳である。詠春拳はブルース・リーが教わった拳法だから、護身術としてたくさん参考にした。そして、歴史的にも詠春拳は「チュノ~推奴~」の時代以前に厳詠春という人が創始した拳法だから、その時代に使っても考証(描いている歴史的な過去の様子が、史実として適正なものか否かについての検証)も問題ないし。

―しかし、ドラマだから実戦性だけを強調するより、視聴者に見せる部分も考えなくてならなかったはずだが、その部分の調整はどうだったか。

チャン・ヒョク:実戦なら一発で終わらせなくてはならない。それができないなら、戦わない方がいいし。しかし、ドラマだからビジュアル的に印象に残るようなアクションをデザインすることが必要となる。その意味で詠春拳の護身術が役立った。そして、テギルが武術を修練する時に使うこけし人形も当時、清にそのような人形があって清と朝鮮は交流があったから、テギルがそれを参考にして作ったと思って設定した。ここ10年間のテギルの修練方法を見せる必要があったから。武術を演じる時、重要なのはそのような細かい部分だ。一方、ビジュアル的にアクションをデザインするのは技術面である。しかし、アクションを本当にかっこよく撮っても、感情を盛り込む部分を疎かにに表現してはいけない。テギルが武術をやる時、どんな過去と感情からそれを使っているかを理解して表現する必要がある。

―クァク・ジョンファン監督がチャン・ヒョクさんについて「アクションに感情を乗せる」と話したのがそのような部分であるようだ。

チャン・ヒョク:これは、ボクシングの試合と似ていると思う。24ラウンドの中、選手がいくつのパターンを持ち、どのラウンドで力を入れ、どこで抜けるか。ただ、アクションをやるのでなく、その流れを考えながらやらなくてならないと思う。もちろん、監督も監督なりに全体的な流れの中で、それぞれの放送回でストーリー進行の速度を調整するし。

「今も1つずつ重ねている過程にあると思う」

Vol.2 ― チャン・ヒョク「僕のキャラクターはまだ成長が止まっていないと思う」

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―そういうところから、テギルはチャン・ヒョクさんがこれまで重ねてきた人生の結果のように思える。ジークンドーを習って、DVDを集めながら映画を見てキャラクターを分析したこれまでの人生の結果。

チャン・ヒョク:「チュノ~推奴~」に出演する前、どんなターニングポイントがあったのかと何回か聞かれたことがある。たぶん、軍隊や結婚、子どものような部分を考えて質問したと思う。もちろん、それは人生の大きな部分ではあるが、自然に流れていく物事の一つでもある。いきなり変わるものではなく、自然に流れて重ねていくものだ。今、35歳になって「チュノ~推奴~」に出会い、最も多くの物事を作品に注ぐことができたとしたら、「プランダン 不汗党」の時は、ただただそうするしかなかった作品だと思う。

―DVDをずっと集め続けている人の言葉らしいと思える(笑) 以前、公開したDVD棚を見たことがあるが、その棚は集めていく楽しさを知っている人が1枚ずつ集めている棚のように見えた。

チャン・ヒョク:人の部屋を見たら、その人がどんな人なのか分かるという言葉もあるように、僕のスペースに何をどう飾ったらいいかを考える。ただのインテリアだと意味がないから。僕のスペースの中にあるDVDや本、フィギュアの1つ1つは、全て僕が見て、感じて、僕だけのおもちゃになるものだ。そのため、自分に合う範囲を決めるのも重要だと思う。所蔵をすることも大事だが、見られる分量や範囲を探すことが必要だ。

―そのため、映画も毎日一本ずつ見ているのか。映画を一本見終わってから、次の作品を10分くらい見て寝るという話を聞いたが。

チャン・ヒョク:10分だけ見たら、次の日、その映画の内容が気になってまた見るようになる。1日に3、4本くらい見続ける時もあるし、DVDは撮影する時も持っていく。面白い作品はもう一度見て、オーディオコメンタリー(映画の解説や実況中継などの音声プログラム)も聞く。ちなみに、運動器具や本も撮影現場に持っていく。

―そのような生活がチャン・ヒョクさんの演技において、どんな影響を及ぼしているか。「ワンルンの大地」から「ありがとうございます」、そして「チュノ~推奴~」まで、チャン・ヒョクさんは新しいキャラクターを演じることより、キャラクターの内面をより深く表現することにフォーカスを合わせているように見える。

チャン・ヒョク:例えば、僕がジークンドーを1日に3日分練習したとしても次の日休んだら、それは次の2日分をやったことにならない。休んだのはただ休んだことになるから。だから、頭の中で複雑に考えなくていい。そして、そのように演技も気楽にやろうとしている。作品を撮影する時、常に何年間も演じ続けていれば、経験も腕も重ね続くものだと思う。いつか、キャラクターのデザインもやってみたい。それはあるキャラクターが与えられたら、それに細工してキャラクターを立体的に作り上げることだ。そんなことに興味を持っている。

―これまでチャン・ヒョクさんが演技経験を積んできたことでジークンドーのように人生の経験も重ねながら、テギルまで来ることができたと思う。テギルがチャン・ヒョクさんの俳優人生の中で1つの区切りをつけたような感じもするが、気分はどうか。

チャン・ヒョク:なぜ演技をするかと聞かれたら、キャラクターを表現するのが面白く、キャラクターに躍動感を吹き込むことが面白いからだと答えたい。僕が演じるキャラクターはまだ成長が止まっていないと思う。それはキャラクターの性格を土台にして、成長ストーリーを見せてくれると思う。そして、キャラクターの中には僕に関するいくつかの記録も残るはずだ。様々な役を演じながら、僕の個人史ができて、誰に出会おうとそれがまた僕に違う影響を及ぼすと思うから。そのようなものが流れていく中で作り上げるのが、僕の演技だ。そのため、今も1つずつ経験を積み重ねている過程にあると思う。

記者 : カン・ミョンソク、写真:イ・ジニョク、編集:イ・ジヘ、翻訳:ナ・ウンジョン