「犯罪都市」ユン・ゲサン“僕とマ・ドンソクさんは40過ぎの大人のケミ”

今までの彼とは別人だった。日焼けした顔に殺伐とした目つき、自由自在に駆使する延辺(ヨンビョン:中国にある朝鮮族自治州) の方言。映画「犯罪都市」でチャン・チェン役を演じたユン・ゲサンの姿はそれこそ目新しい。デビュー後初の悪役を引き受けて熱演した彼は、これまでの端正で柔らかい雰囲気を拭い去り、思い切りイメージチェンジした。ユン・ゲサンが打ち明けた「犯罪都市」「興行願望」「心構え」の話だ。

――デビュー後初めて悪役を引き受けた。心配だった部分はなかったか。

ユン・ゲサン:これまで色んな作品を通じて善良なイメージをたくさん見せてきた。だから悪役の顔を作るのが僕にとって最大の課題だった。まず外的な変身を試みた。付け髪をし、顔も日焼けした。また5kg程体重を増やした。「大丈夫かな、できるかな」という疑問は絶対抱かなかった。僕が疑う瞬間、観客も疑うことになるので。

――チャン・チェンを演じる時、最も重点を置いた部分は?

ユン・ゲサン:チャン・チェンは妥協のない絶対悪である。以前まで僕が演じたキャラクターは全部前史があった。だから、全部常識ラインの上で演技すれば良かった。しかしチャン・チェンは、本質と前史のない人物だ。ひたすら想像力だけで演技しなければならなかった。目つき、歩き方、言い方一つ一つ全部作り上げた。演技のノウハウを全部引き出して演じるしかなかった。

――延辺(ヨンビョン:中国にある朝鮮族自治州) の方言も上手く駆使していたが、どれ程練習したか。

ユン・ゲサン:撮影に入る前に2ヶ月ほど練習した。もともとは完璧な延辺の方言を使おうとしたが、チャン・チェンとは合わなそうで、標準語を混ぜてよりスムーズに純化させた。方言を完璧に駆使しようとすると、演技っぽい感じがした。だからその感じを少し省こうと努めた。度合いを調節するのが一番大変だった。

――悪役を演じた後の後遺症はない?

ユン・ゲサン:後遺症というより、演技をした後の残像が長らく残った。相手俳優と演技する時、近くで顔を見合わせたので悲鳴を上げる様子、苦しむ様子が撮影の後にも浮かびあがった。俳優たちみんな、とてもリアルに演じきるので、ある瞬間は偽物のナイフなのに「深く刺し過ぎたかな?」と錯覚する程だった。

――劇中チャン・チェンの部下として出てくる脇役俳優たちの活躍も印象的だった。呼吸はどうだった?

ユン・ゲサン:チン・ソンギュさん、キム・ソンギュさんは、長い間演劇俳優として活動してきた。チン・ソンギュさんは、ドラマ「ロードナンバーワン」で初めて会い、演技が非常に上手くて、演技のレッスンを受けたこともある。キム・ソンギュさんは他の惑星から地球に降りてきた人みたいだ。演技するのを見て驚いた。2人とも素晴らしい。彼らと一緒に演技する3ヶ月が本当に幸せだった。

――マ・ドンソクさんとの呼吸はどうだった?

ユン・ゲサン:俗に言うケミ(ケミストリー、相手との相性) が良かった。映画「青年警察」を面白く拝見させてもらい、ケミの力とは本当に凄いんだなということを感じた。パク・ソジュンとカン・ハヌルの呼吸が本当に良かった。今年最高のケミじゃないかと思う。僕たちもそこに劣らない。僕とマ・ドンソクさんは、40過ぎの大人のケミとも言えよう(笑)

――主演俳優として興行に対する負担もあったのでは?

ユン・ゲサン:主演俳優は責任を負う人だ。負担は決して軽くはない。映画が上手くいった時も、主演俳優が最大の賛辞を受ける如く、上手くいかなかった時に背負う重荷も大きい。そんな意味で「犯罪都市」が上手くいくことを願っている(笑)

――そんな負担を乗り越えながら、ずっと演技を続けられる原動力は何?

ユン・ゲサン:俳優という職業を持つようになり、僕が好きな事を続けられるという事に感謝だ。感謝できなければ、その瞬間から地獄になると思う。僕もどん底に落ちたことがあるため、心を完全に持ち直した。今では全ての事に感謝する気持ちを持っている。

――俳優である最も良い点は?

ユン・ゲサン:当時の顔がそのまま収められた作品があるという事は、最大の幸福だと思う。以前出演した作品を見ると、またその当時に戻ったような気がして好きだ。

――20代と比べて大きく変わった部分とは?

ユン・ゲサン:僕は自分が年を取ったとは考えない。気持ちだけは20代だ(笑) 昔に比べて多少慎重さが出てきただけで、大きく変わった事はない。近頃でも髪を白く染めたいと思ったりする。銀髪がカッコよく見えるんだ。

 記者 : イ・ウンジン、翻訳 : 前田康代、写真 : モリコ