チョン・リョウォン「『魔女の法廷』を通して、上手くできるという自信が生まれました」

写真=キーイースト

セクハラを繰り返す上司に対し、公開的に恥をかかせる勇気。罪を犯してもふてぶてしい態度で一貫する加害者を制圧するカリスマ。正しくないと思うことは正さなければならないという性格。KBS 2TV「魔女の法廷」で、マ・イドゥムは堂々と感情に正直だった。あちこち駆け回って存在感を振りまいたせいで、「魔女検事」というニックネームまで付いてしまった。マ・イドゥムを演じたチョン・リョウォンは、キャラクターに同化して変わっていった。言いたい事があるのに我慢して、やりたい事を目の前にしても「私が出来るかな」と心配していた彼女がマ・イドゥム化した。もっと上手くできる自信があると言いながら、アハハと豪快に笑うチョン・リョウォンに出会った。

――女性主人公のマ・イドゥムがドラマ全体を力強く引っ張った作品でした。韓国で放送が終了した感想はいかがですか?

女性がドラマのメインキャラクターという作品は多くはないんです。疲れないことが一番重要だと思いました。そう思っていても、7話を撮影するのはすごく大変でした。でも大変なそぶりを見せることは出来ませんでした。「女優を主演にしたドラマだから、やっぱりダメだったんだ」という風に言われたくなかったんです。私だけでなく、私と同年代の女優に対するイメージも悪くなると思って、責任感を持ってより力を出しました。

――ドラマの人気は予想していましたか?

シナリオがとても面白かったんです。ただ、私がマ・イドゥムというキャラクターを上手く演じることが出来なさそうで不安でした。性犯罪をテーマにするという点でも心配がありました。ドラマによって二次被害者が出てくるのではないかと、慎重になって恐れもありました。私がドラマの中で緩急の調節をしっかりしないとと思いました。

――ドラマの人気は、キャラクターの影響が強かったという反応がありますが?

もしマ・イドゥムが男性主人公に頼って、彼が何かを解決してくれるのを願うタイプだったら、ここまで痛快じゃなかったと思います。マ・イドゥムは、自分が受けた被害を合法的に自分で報復しないと気が晴れない人物です。私は小心者で怖がりな性格なので、言いたいことはすべて言う、熱い性格のマ・イドゥムを演じながら「女性の視聴者の方々が好んでくれそうだ」と思いました。

――実際の性格とは随分違うとお聞きしました。演技しながら、ストレス解消になりましたか?

そうですね。私の周りに、マ・イドゥムに似通った性格の友人がいます。私がインターネットで価格を見た後に工具を買いに行ったら、お店のオーナーが価格を高く言ったんです。内心疑いながらも何も言えませんでした。でもその友人が来て、インターネットで安い金額を探した後「おじさん、この方が芸能人だからって高く取ろうとしてる訳じゃないですよね?」と言ってくれました。その友人を見て心がスカッとしたんですが、私がそのような人物を演技することになって。台本をもらった後に、その友人に台本リーディングをやってもらったりもしました。すごく参考になりました。

――ドラマは女性児童犯罪専担部を背景にしていました。性犯罪を裁く現在の法律についても考えてみる契機になったのではないでしょうか?

女性児童犯罪専担部は仮想の部署です。一人の検事が公判まで行くノンストップシステムですが、現実にはないと聞きました。もちろん、検事たちは大変だと思います。でも被害者を保護して、加害者を捕まえるためには理想的なシステムだと思いました。性犯罪というのは、呼吸をするように自然に起こるのです。「これが性犯罪だったの?」と思う程、当たり前に受け入れられているのが現実です。今作品を撮影しながら、敏感に周りを見るようになったと思います。後輩のチェ・リがミニスカートを着て登場した時に、スタッフたちが「今日可愛いね」と褒めていました。私は冗談で「それはセクハラ発言になるかもしれないよ」と言いました。

――とても団結していた女性児童犯罪専担部のメンバーとは、実際も親しそうですね。

こんな経験は初めてです。普段車でセリフの練習をして、撮影が始まると外に出て演技をしていました。そして終わったらそのまま家に帰って。でも今回の作品を撮影しながら、撮影前から現場でうろついていました。私だけじゃなく他の俳優の方々も、早く出て来て互いに待っていました。スタッフが「まだ準備が出来ていないから入っていてください」って言っても「私たち同士で遊んでます」と答えてました。前作「風船ガム」で一緒に仕事をしたオーディオ監督が、「リョウォンさん、昔はそんなんじゃなかったのに。内気だと思ってたのにこんなに明るくなったなんて」と言って、びっくりしていました。私も自分がどんな性格なのか分かりません。演技ごとにキャラクターが同化してしまうみたいです。

――先輩のチョン・グァンリョルさんの前でも動じないカリスマ性を見せてくれましたね。実際に共演してみていかがでしたか?

チョン・グァンリョル先輩は“AlphaGo(囲碁AI)”だという噂を聞きました。カメラのアングルもよく知っていて、NGも出さないと聞きました。なので最初の撮影を前に、私が上手く出来るか心配しました。先輩と対立するシーンでは絶対NGを出しちゃいけないという思いで、台本に星マークまでつけておきました(笑)。私が怖がらずに戦闘力を上昇させてこそ、先輩のエネルギーももっと生かされると思って。だからリハーサルの時もすごく頑張りました。

――ドラマを通して得たものはありますか?

確信が生まれました。昔は“小心者”でした。「私が出来る訳ない」とか「何様のつもり?」という思いがありました。でも「魔女の法廷」の後からは、私一人でも上手くできるんだという自信が生まれました。恐れも大分なくなりました。

――KBS演技大賞での受賞が期待されていますね。

今回、女性児童犯罪専担部のメンバーがみんな招待されました。女優と言う感じよりも、ドラマを担当した一人として授賞式を楽しみたいと思っています。人気賞はちょっと取ってみたいですね。デビューしてから一度も取ったことがないんです。

――「魔女の法廷」シーズン2の可能性はありますか?

放送が終了した時、ドラマのチーフプロデューサーが「シーズン2もやろう」って言ってくれたんです。俳優たちは皆、いい考えだと答えました。でも作家さんはちょっと考えてみるって答えたんです。「魔女の法廷」のために、3年間情報収集し、インタビューをたくさんしてきた作家さんです。完成度を追求しているので、シーズン2について簡単に答えられないんだと思います。作家さんが作業してくれるなら、私を含む俳優たちは皆準備ができています。何よりも、マ・イドゥムという魅力的なキャラクターと別れるのはとても残念です。

 記者 : ヒョン・ジミン、翻訳 : 浅野わかな