Vol.2 ― コン・ヒョジン「自分が見ても、ヒョヌクを丸め込む姿は本当にずる賢く見える」

―環境問題を考えると、自分以外の存在も自分と同じように大切で、自分が地球上で一番素晴らしい存在であったり何かをぞんざいに扱える存在ではないということを悟るのではないか。でも役者は撮影場所で自分が中心になり、自身の主張を通さなければならない時もある。それで人々と衝突したりしたことはないのだろうか。

コン・ヒョジン:そのような部分は正直ある。役者が自身の主張を通そうとしないと、現場では少し頼りなく見えることもある(笑) ハッキリと主張するのが格好良くも見えるし、そうすると周囲から“あの人は怖いもの知らずだ、やっぱりすごい人だ”とも言われる。実際、私が目指す女優の姿はそうだ(笑) 格好良く座って「コーヒー下さい」と言い、そのコーヒーを残して立ち去り。ハハッ。でも実際の私は、そんな人じゃない。でも演技をする時は、どのようにしても他人に自信のある姿を見せなければならない。けれど、いつからか急にそれはとても卑怯なことだと思えてきた。みんなは私がスポットライトを浴びる仕事を持ち、消費志向的な人のように見ているけれど、実際の私は10分以内にシャワーを浴び、タオルを乾かしてまた使う人なのに、どうして今までそれを見せなかったのか、とも思う。

「女優は沢山の人を自分の味方につけなければならない」

Vol.2 ― コン・ヒョジン「自分が見ても、ヒョヌクを丸め込む姿は本当にずる賢く見える」

写真=TENASIA

―自分の本当の姿と、憧れとする姿のギャップが大きかったのだろうか。

コン・ヒョジン:実際、20代前半まで、周囲にワイルドな姿で映ればと思っていた。学校には必ずそんな子が一人はいる。つばを吐き、ガムを噛み、手で押せばいいものを足で蹴りながら歩く姿を見て、格好いいと思っていた(笑) 私もあんな風になりたいと思った時期もあった。もちろん今ではそんな風には思わない。それでももう少し格好良く見せたいと思う時もある。だけど時間が過ぎるにつれ環境のことを考え、生活では几帳面であるのが、素敵な姿だと自ら感じられるようになった。私以外の他のものを考える真面目な態度が他人にも格好良く映る時期が来ると思っている。

―そのような態度が演技にも影響を与えるのではないか。最近の作品、特に「パスタ~恋が出来るまで~」でコン・ヒョジンさんとイ・ソンギュンさんは、自身の役を越えることなく正確に演じたという感じを受けた。自身を目立たせるというよりも、相手やキッチンという空間の全体的な調和に気を使ったようにも見える。

コン・ヒョジン:環境問題に関心を持つと、むやみに消費をする役を演じたくなくなってしまった。色々なものを買うお金持ちの娘のような役は、今の私には合わないとも思える。もちろん良い作品なら出演するだろうけど(笑) そして私は、女優は沢山の人を自分の味方に付けなければならないと思っている。作品ごとに5~6名、多ければ100名以上のスタッフに出会いそして別れ、また出会う。その中には初めて会う人もいるけれど、彼らと話をし、自分の味方に付け、お互いの感性を伝えることで、しっかりと仕事をすることが出来る。そうすると、人間関係や作品の調和について努力して、そういった面では若干長所があるようだ。

―他人との関係や他人が自分を見る視線について、とても深く考える性格のようだ。

コン・ヒョジン:幼いころ、友達と仲良く過ごそうと努力していた。顔色もよく伺い、空気をよく読む子。洞察欲を持ちリードしたり、中心に立ったりするスタイルではなく、人間関係を円滑に進めようと努力した子だった。

―だから、今までの役も他人に気を配り、世話をする場合が多かったようだ。さらには「パスタ~恋が出来るまで~」でも、とある瞬間からヒョヌクがユギョンに頼るシーンがよく見られた。ユギョンにブツブツとぼやいたり。

コン・ヒョジン:そうなってしまった(笑) ある日、自分の手の中にシェフ(ヒョヌク)がいた(笑)「パスタ~恋が出来るまで~」の放送をスタッフの方と一緒に観たけど、「ソ・ユギョンは本当にずる賢い」と。自分で演技しておきながら、表情でヒョヌクを丸め込むのは本当にずる賢く見えた。

―ヒョヌクはとても原則主義者で、ユギョンは彼に気分を害さないように色々とアドバイスをする、そんな部分を自然に引き出すため、自ら設定した部分も多くあったのではないか。

コン・ヒョジン:最初は、監督から「乾パン先生とこんぺいとう」のように「しばらく何をしても上手くいかなかったけれど、今回は最後まで分からない」と闘志に燃えるキャラクターを演じることを希望された。だから、元々私の初めての登場シーンは、頭にタオルを巻き「お箸をちゃんと持てるとご飯がちゃんと食べられる」という歌を歌った。男性なのか女性なのか分からないほどの男みたいな性格で、ヒョヌクにいくら苦しめられても最後には成功出来そうな馬鹿力が垣間見える女性。

―結果的に、ユギョンはとても女性的な魅力溢れる姿になった。

コン・ヒョジン:映画「ミスにんじん」以降、私もどこかにいるような女性を演じたかったから。「パスタ~恋が出来るまで~」も配役に大きな意味を持たない淡白なシナリオだったから、私がそのような姿を作っていけると思っていた。でも、監督と初めて会議をした時、作家がユギョンのキャラクター設定をされたけれども、それが全部おてんば的な感じだった。だから「今回だけは、女性っぽい姿を見せたい」と言い、自ら作っていけると言った。また、みんなが考える私のイメージ通りにワイルドだったり、せこい女性の姿だけを見せたくなかった。

「最近は作品の中で本当に平凡な人になりたい」

Vol.2 ― コン・ヒョジン「自分が見ても、ヒョヌクを丸め込む姿は本当にずる賢く見える」

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―それがユギョンの独特な点のようだ。男性に女性的な魅力をアピールすることもなく、だけど、あえて女性的な魅力を無くすことはしていない。日常的な女性の姿を見せる感じ。そのような姿を見せるまで、色々悩んだのではないか。

コン・ヒョジン:以前も演じたような役を繰り返さないように努力した。だから、制作陣を「今回はこのようにしたい」と説得しようとした。作品の序盤に、これが悪い判断ではなかったとアピールできるようにとても努力した。撮影の序盤、監督が演技について心配されたようだ(笑) ヒョヌクが毎日声を荒げるだろうに、そのような姿でどのように対抗できるのか、と心配されていた。でもタフな姿の演技は出来るけど、やめておこうと思っていた。同じような演技の反復になるだけだから。ヒョヌクが怖い時は涙を流し恐れ、頼りない姿を見せる時はただそのような普通の女性を見せたかった。そうしたら、1・2話が終わった後、監督からこのままのキャラクターでいくのが良いと言われた。

―そのようなキャラクター設定を納得させるには、イ・ソンギュンと足並みを揃えることも大切だったのではないか。

コン・ヒョジン:私のキャラクターをどのように設定しようかなとは考えたけれど、自分中心に考えたことはない。私がとても弱くなって、相手の俳優の感情を上げることが出来た時「私は哀れなことは嫌い」と我慢すると、相手が演技する口実がなくなる。その人は、私がかわいそうだから、自分が起こした問題に目をつむってあげられるけど、私がそれを防ぐことは出来ない。でも、序盤に私のキャラクターを簡単に説明するために、これまで慣れた演技を見せながらキャラクターを作ったら、ありきたりでつまらなくなってしまう。だから、最近は作品の中では本当に平凡な人になりたいと思っている。

―平凡な人とは?

コン・ヒョジン:世界にはとても多くの人がいて、みんな各自の姿で生きている。でも私たちが演技をする時、極端な設定や過度にかわいそうなふりをすると、その多くの人は、各々の細部を表現出来ない。ありきたりな設定を避け、自分の演技についての新しいルールを作りたいと思っているし、そうすればさらに成長出来ると思っている。特に「パスタ~恋が出来るまで~」はそのような点では監督、作家、役者と連携がとても良く、その結果、今のユギョンが出来上がった。

―ユギョンが急にキレイになったりせずに、ヒョヌクと一緒に仕事をしながら自然に自身の様々な魅力を見せたのが、印象的だった。

コン・ヒョジン:本当に悩んだことの一つが、ユギョンを憎たらしく思ってはいけないということ。少し失敗すると、視聴者から「あの子何なの?毎日失敗ばかりして男性に尻拭いをしてもらって」と言われるかもしれないキャラクターだったから。キッチンで事件を起こし、解決できなくて毎日泣いてばかりいて。でもシェフがこれを許し、そんな感じだったら誰が見ても憎らしく見えてしまう。だから、私はセリフがない時でもキッチンではずっと走り回っていた。痩せていて、体力もあまりないように見えるけど、そうしようと努力し、男性よりも二倍動くことで限界を克服しようとしていた。それを監督も画面で見せようと6時間もの間カメラが私だけを追いかけながら、私が走る姿をワンテイクで見せようとした。あの子がこんなにも苦労している、といったことを。

―だから、コン・ヒョジンさんの次の行動がとても気になったわけだ。普通、女優は年をとるに従い、役柄が限定される場合が多いが、コン・ヒョジンさんはどんどん自身のやりたい役を探しに行くようだ。

コン・ヒョジン:「パスタ~恋が出来るまで~」の前までは、女性には格好良いと思われたり、またワイルドな姿を見せるのが良いと思われていたように感じる。当分は「パスタ~恋が出来るまで~」のようなキャラクターを演じたい。もちろんそれを越え、さらに違った魅力を見せなければならないだろうし。今は女性たちの全盛期がどんどん長くなり、過去よりもずっと長く輝ける。けれど、偶然良い作品に会い、ヒットさせて女優生命を延ばすのではなく、絶えず努力しなければならない。人々を魅了させようとするなら、結局努力することが必要だ。ただ良い作品に出会い、良い監督と仕事をするのが全てではない。希望が見られない作品もその人が演技し良い作品になり、作品の制作過程で一緒に仕事をした人の助けになるような女優になりたい。観る人だけでなく、作る人も好まれる女優になれるよう努力している。そうすると、長く演技が出来るのではないか(笑)

―30代以降、女優ではない一人の人としてどのように生きていきたいか。

コン・ヒョジン:すでに始めたとも言えるけれど、女優は女優としての確固たるキャラクターが作られる。例えば“女性らしい”や“性格が良さそう”など。でもそのようなキャラクターは、キャラクターとしておいて置き、自分自身を省みた時、本当の自分の姿を探すことが大切だと思う。女優は、自分のイメージが決まったら、一つの姿を極大化させようと努力し、自分によく合う、人々が一番呼応する姿に自分を引っ張っていこうとする。そうして、自分の実際の姿が現れたらどうしようと心配もする。だから、普段のイメージとは違う役を演じる時「私とは本当に違う人物です。作品の中の私はただのキャラクターです」といったことを言ったりもする(笑)

―今、コン・ヒョジンさんはそうは言わなかった?(笑)

コン・ヒョジン:実際に、私はファッションリーダーだとか、堂々として正直でよどみないイメージだということも知っている。もちろんそのような姿で映ることを変えようとか否定しようとはしない。けれどそれは、女優として活動する時の自分の姿であり、自分に戻った時は、自分の姿を見せたい。もう少し注意深く、同時に自分の横にある木だけでなく、森までも見ることが出来る人になりたい。だから、女優としての自分のイメージを実生活に持ち込み被せるよりは、どのように見えるか分からないけれど、外見と内面とは違う人になりたい(笑) 外見は女優だけど、中身は自分が本に書いたようなのに近い人。そうやって自分の姿を守りたい。

記者 : カン・ミョンソク、チェ・ジウン、写真:イ・ジンヒョク、編集:チャン・ギョンジン、翻訳:平川留里