リュ・ジョンハン、ミュージカルと15年間熱愛中

交際期間が長いほど、2人の愛はその光を失い、お互いへの感情が愛情なのか、ただの情なのかも分からないまま、居心地のよさだけで何気なく付き合い続ける恋人が多い。でも、15年間もミュージカルと恋愛している俳優リュ・ジョンハンの恋心はちっとも変わらず深くて固い。今も将来への希望を持ち続けている。もし他の俳優だったら、違う事に関心を持ったとしてもおかしくないぐらいの長い時間なのに。41歳の彼の顔に未だに少年っぽい顔がチラッと浮かぶのは、彼が変わらない愛を信じているからだろう。彼は最初のときめきを大切にしながら熱く黙々と今を愛し続けている。それがリュ・ジョンハンがミュージカルという恋人と15年間恋愛している秘訣だ。

「リュ・ジョンハンと共に成長してきた韓国ミュージカル

リュ・ジョンハン、ミュージカルと15年間熱愛中リュ・ジョンハンの成長は韓国ミュージカル界の成長を意味する。声楽を専攻した彼は1997年、クラシックよりレベルが低いと思われたミュージカル界に突然、現れた。彼のデビュー作は古典「ロミオとジュリエット」から着想して作られた「ウェスト・サイド・ストーリー」。それまではレナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)の曲の音域が高く、うまく歌える俳優がいないことから仕方なく音を低くして上演していた作品だった。ところが、クラシカルで安定的な彼の声はその作品にピッタリで、ようやく原曲の音そのままに戻して上演することができた。彼の登場から正確な発声や歌唱力がミュージカルの基本として思われるようになり、その後、キム・ソヒョン、キム・ソニョン、ミン・ヨンギ、ヤン・ジュンモなどの登場はミュージカル界により多くの選択肢を与えてくれた。また、2002年に上演された「オペラ座の怪人」でラウルを演じたリュ・ジョンハンは日韓ワールドカップの期間中にも関わらず、有料客席のシェア98%という高い数値を記録して「世界中で最も愛されたラウル」と評価された。でも実際は、彼は声楽も、ミュージカルもやりたくて始めたわけではないという。だが、この世界に入ってきて以来、いつも1等だった天才リュ・ジョンハン。

そんな彼が「lover」のイメージを捨てて反乱を夢み始めたのは2004年「ジキル&ハイド」からだ。テナーとベースを行き来する1人2役に、韓国で初めて上演される悲劇的な結末のスリラー。ダブルキャスティングされたチョ・スンウに比べ知名度は低かったが、彼は彼ならではの「ジキル&ハイド」で一気に知名度を上げた。彼のジキルは奇麗で落ち着きのある声を持つジェントルマンで、ハイドは雷のように怒鳴るだみ声を持つ恐怖そのものだったのだ。オリジナル・クリエイティブチームは“「ジキル&ハイド」それぞれのギャランティーが必要かも”という言葉で俳優リュ・ジョンハンの才能を認めた。こうしてブロードウェイでも失敗した「ジキル&ハイド」は韓国のベストセラーになったが、彼はさらに強烈で独特な作品に挑戦していった。年と関係なく正義のために戦い続けて騎士を目指す老人(「ラ・マンチャの男」)に、愛のために胸の中に短刀を隠している男(「スリル・ミー」)に、世の中で最も悲しい理髪師(「スウィーニー・トッド」)に。この作品たちは公演当時は韓国であまり知られていない作品だったけど、ひたすらミュージカルだけにこだわってきたリュ・ジョンハンの誠実さや才能、そして作品の独特なジャンルが結び合って観客を呼び込むことに成功した。すなわち、彼の挑戦でミュージカル界は数多くの作品を上演できるようになった。

止まらない愛の次の話

リュ・ジョンハン、ミュージカルと15年間熱愛中2012年に向かって、リュ・ジョンハンは次のステップを準備している。それは来年2月に上演する「エリザベート」でのことで、デビューしてから今までいつも自分がストーリーの中心になってやってきたことを他の俳優と分け合うことだ。才能がある後輩にはスポットライトを、ドラマチックな人生を演じる女優にはカーテンコールの最後の席を。その代わりに、リュ・ジョンハンは願う。自分が演じるトート(Tod、「死」を意味する)が、エリザベートが子どもの頃からこの世を去る最後の瞬間まで彼女の周りを巡るように、彼自身もステージの中心でなく後ろの方でも主人公を輝かせてミュージカル界を心強く支える俳優として引き続き残ることを。韓国のミュージカル界は現在、まるでバブル景気のような状況に置かれているが、こういう時こそ、いつ消えるか分からないバブルに乗るより自分の場所や速度で頑張るべきと強く言った彼が選んだ次回作は「エリザベート」。彼はこの作品でもう一度ミュージカル界を揺らすはずだ。そして、それがリュ・ジョンハンの力だ。

ドン・キホーテは歌う。「希望さえなくて、また遠くても、止まらずに、振り返さずに、ただ僕に与えられたこの道を歩こう」と。そしてこの歌は、彼が20本あまりの出演作の中で「ラ・マンチャの男」をもう一度やりたいと思う理由だ。そういえば、リュ・ジョンハンはドン・キホーテに似ている。どんなことがあっても諦めずに前を見て進む姿が。自分の出世より正義や自分がいるこの世界をもっと大切に思うところが。そして、リュ・ジョンハンはミュージカルを誰よりも愛している。自分を表現する言葉はただ「ミュージカル俳優」であれば十分というこの男の愛が、この男の歌が今日も人々の心を濡らす。できるだけ長く、様々な作品でミュージカル界にいてくれることを願う。

記者 : チャン・ギョンジン、編集 : イ・ジヘ