【CLOSE UP】キム・スヒョン ― “幅広い役柄をこなす俳優”までもうすぐ

「僕、今何を話しているんだろう? ワハハハ。これじゃ、ダメだな。とりあえず、チョコをひとつ食べて、しっかりしよう」

キム・スヒョンは頭の中に浮かんでいることを、ちゃんと言葉に変えて表現できない自分がもどかしかったようだ。少し斜めになって座っていた姿勢を直して、天井と床を見つめていたこれまでの視線を、記者の顔に真っすぐ向けるようにした。

その後も、彼は何度も答えを出すことに難しさを感じているようだったが、それでも自分が話したいことになるべく近い単語を探そうとずいぶん努力していた。そのため、質問が終わってから答えを言うまでの間、その数秒間の沈黙が破られる直前の瞬間まで、彼がどんな目つきをしてどんなことを話すか、まったく予測することができなかった。キム・スヒョンから、彼の演じた「ドリームハイ」(KBS)の純朴なソン・サムドンや、「ジャイアント」(SBS)の粘り強いイ・ソンモの姿を期待したわけではないが、それでもこんな第一印象を受けるとは思わなかった。

熾烈さが作り上げた結果

【CLOSE UP】キム・スヒョン ― “幅広い役柄をこなす俳優”までもうすぐひとことでは表現しにくい彼の第一印象のように、キム・スヒョンはまだ固定されたイメージがない俳優だ。それは、イメージが固定されるほど数多くの作品に出演していないからでもあるが、違う視点から見れば、彼が作品ごとに新しい雰囲気を作り出したからだとも言える。キム・スヒョンは目鼻立ちがはっきりした顔立ちではあるが、正直なところ絶世のの美男というわけではない。しかし、そのような顔立ちのため、一つのイメージに固定されることなく様々な顔を見せることができた。

彼の存在を広く知らしめた作品「クリスマスに雪は降るの?」(SBS)での幼いチャ・ガンジンからは、彼のデビュー作である「キムチ・チーズ・スマイル」(MBC)で水泳部の最年少が見せた純粋な笑顔を見つけることはできない。また、「ジャイアント」(SBS)では、幼いイ・ソンモに扮し、米軍部隊で血を流しながらボクシングを学び続け、ドラマの中でいちばんの悪役であるチョ・ピリョン(チョン・ボソク)に立ち向かいながら、それまで少し残していた少年らしさを完全に消して、汗くさい青年になっていた。

これをただ、作品の運がよかったと説明するには「人を見る時も、物を見つめるようにして焦点を広げていく」目つきの演技を練習し、落ち込んだ時でさえ「涙を流す理由よりもその状況や動きを覚えて演技に応用した」という彼の努力は、あまりにも熾烈なものである。

そのように少年の顔をして、ベテラン俳優たちに劣らない見事な演技を披露したキム・スヒョンは、誰かの少年時代の役ではなく、彼が演じた短い少年時代自体が、もう一人の主人公であると言ってもいいくらい、深みのある演技を見せてくれた。「キム・スヒョンという人間を見せるのがとても怖くて」知名度を短時間に一気に上げられるバラエティ番組に出演しなかったという彼は、完全に演技力だけでデビュー5年目を迎え、24歳でこれだけ注目される超優良株として浮上している。

主人公のほとんどがアイドルグループのメンバーである「ドリームハイ」は、キム・スヒョンがいちばん得意とする演技をさらに目立たせてくれた作品である。田舎で歌を歌いたいという夢だけを抱いて上京したソン・サムドンが、他の歌手志望生を押しのけて“K”の主人公になるエンディングに視聴者が納得したのは、彼の本気が映しだされた演技力のためだ。目に涙を溜めたまま、片思いの相手であるヘミ(ペ・スジ)に向かって「僕には君が音楽で、音楽が君だった」と告白する彼のまなざしは、キム・スヒョンがそのシーンで意図した通り「ギュッと抱きしめてあげたくなる」母性本能を引き出した。前作を通して繊細な目つきを練習した結果、キム・スヒョンは台本で描かれたキャラクター以上の魅力を発揮することができた。

ソン・サムドンと共に成長したキム・スヒョンの夢

【CLOSE UP】キム・スヒョン ― “幅広い役柄をこなす俳優”までもうすぐ

写真=TENASIA

そのため、「ドリームハイ」はドラマの内容のように、キム・スヒョンが自分の夢に一歩近づけた作品になった。少年の顔と大人びた内面を持って大人の世界に入り、一つずつ経験を重ねてきた彼は、「ドリームハイ」を通して自分の若さをそのままアピールすることができた。「ドリームハイ」の人気を通して10代~20代の視聴者がキム・スヒョンに注目し始め、彼が「芸能街中継」(KBS)のインタビューをするために街を歩いた時には数百人の人が集まってきた。

歌やダンス、演技にバラエティまでこなす10代後半~20代前半のアイドルたちが人気の中心である現在、キム・スヒョンは俳優の中でも珍しく彼らと肩を並べるアイドル的な位置に立った。バラエティ番組で無理やりキャラクターを作らなくても、俳優としてのスター性を十分認められて、一段階飛び上がったのだ。さらに「ドリームハイ」のため、数ヶ月間JYPエンターテインメントで練習生の生活をした経験は、彼に他のアイドルよりさらに高い所に立つことができる可能性まで与えてくれた。“幅広い役柄をこなせる俳優”になるのが夢だという彼が、その夢に向かって大きな一歩を踏み出し近づいている足音が聞こえてくるようだ。

記者 : イ・ガオン、編集:チャン・ギョンジン、翻訳:ナ・ウンジョン