Vol.2 ― パク・ミニョン 「私はまだ20代だから、十分迷ってもいい年齢だ」

Vol.2 ― パク・ミニョン 「私はまだ20代だから、十分迷ってもいい年齢だ」

写真=TENASIA

―パク・ミニョンさんが話した通り、20代の誰もが試行錯誤を経験したり、人生の山場を迎えたりする。重要なのは、その時に勇気を失うか失わないかのことだ。

パク・ミニョン:私にとってもその時が人生の中で一番暗い時期だった。自信がなくなり、やる気を失ったりした。この道を正しく歩んでいるのだろうかと、思春期の時も悩まなかった根本的な悩みを抱えた時期。それほど、精神的に荒れていた。

―SBS「幻の王女 チャミョンゴ」が最終回を迎えた頃のことか。

パク・ミニョン:そのドラマが終わってからのことだ。実を言うと、女優としての私は「幻の王女 チャミョンゴ」を通して得たものがたくさんある。以前は活発でツンツンとする女子高生役を演じたが、初めて正劇(シリアスで深みのある内容を扱ったドラマ)に近い演技をしたのが「幻の王女 チャミョンゴ」だった。だから、準備にもかなりの時間がかかった。それまでは女子高生役を演じる時に長所だと思っていた声のトーンや、自然に感じられる程度に流す発音などが、時代劇ではハッキリとした短所となってしまった。なので、ハッキリと発音して言葉や声に力を入れる練習をした。パンソリ(物語に節をつけて歌う音楽で、朝鮮の代表的な民族芸能の一つ)を習い、アナウンサーのように発音の練習を最初からやり直した。そんなトレーニングをした後、半年間撮影を行ったため、精神的には大変だったが、演技的にはたくさん学ぶことができた時間だった。「幻の王女 チャミョンゴ」での演技があったから、ユニという大きなプレゼントをもらうことができたと思うしかし、当時は思ったよりも視聴者から愛されなかったので、衝撃を受けたし、私のせいかなと苦しんだ。それ以来、今回の作品がうまくいったからといって、次の作品もうまくいくと思うような、そんな馬鹿みたいな考えはもうしないようになった。

「自分の演技を繰り返したりコピーするばかりだと、そんな私に真っ先に気付くのが見ている人たち」

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―だとしたら、その時は何を考えていたか?

パク・ミニョン:それまで運がかなり良かったから、前作の人気は次回作に繋がると思っていた。この仕事を始めようと心の中で決めた時からその時まで、失敗だと思ったことがあまりなかったから。「アイ・アム・サム ~I am Sam~」の視聴率は低かったけれど、2作品目だったにも関わらず主演を演じることができた。周りから可愛いと褒められたし、賞を頂けた作品だった。その次の作品「伝説の故郷-九尾狐(クミホ)」は単発の放送劇だったにも関わらず、視聴率が21%も出た。そして、その次に選んだのが「幻の王女 チャミョンゴ」だったから、多分心の中で今回もうまくいくはずだと漠然と信じていたと思う。だから尚更うまくいかなかった時の衝撃がより大きく感じられた。心の中で準備をしていたら、衝撃の強さが少し弱かったかもしれない。それで、当時は少し苦しんだけれど、それでも良い人たちと良い作品を作ったということに満足した。問題はその次からだった。「幻の王女 チャミョンゴ」が終わってから、やろうとしたいくつかの作品が中止になり、とても落ち込んだ。「幻の王女 チャミョンゴ」という作品が視聴者から愛されなかったから、それ以上失うものなんかないと思ったのに、それからも失い続けて悲しくなった。本当にやりたいと思った作品が制作中止になったりしてどんどんやる気をなくして「私は女優をやり続けられるだろうか」という疑問を自分に投げ続けるようになった。そんな中、所属事務所を変えて大きな変化を迎えた。その変化に合わせ、初心に戻ろうと心を入れ替えた。そして、新しい事務所で新しく始めたドラマが「ランニング~夢のその先に~」だった。空っぽにした心の中に新人の志だけを入れて演じようと思ったその作品は、1本のドラマが終わってから新しいドラマが始まる前の間を埋めるために編成された短い水木ドラマであったから、視聴率をあまり気にしなかった。ただいい経験だと思って撮影した。それもあってか楽しく撮ることができたし、その時「トキメキ☆成均館スキャンダル」出演のオファーが来て、最終オーディションに受かり、ユニ役を演じることになった。心を空っぽにしたから、新しく埋めることだけが残り、演技も楽しかったし体力的なきつさも耐えられるほど精神的に強くなった。だから、今はユニのように強くなったと胸を張って言える。

―もう作品の成功や失敗により、一喜一憂しない自信があるということか。

パク・ミニョン:そう。以前「思いっきりハイキック!」に出演した時は、ドラマの人気が私の人気でもあると自慢して嬉しくなったりした。だけど今は、それは作品の人気であり、キャラクターの人気であることを理解している。私は人気が出た作品に出演した女優に過ぎないだけで、私が引き続き一生懸命頑張らないと視聴者はすぐに私から目を逸らすということに気付いた。だから今は「トキメキ☆成均館スキャンダル」を通してもう一度人気が返ってきたからといって、その人気は私のものであると考えたりしない。それは、作品の人気であり、キム・ユニというキャラクターが可愛くて人気が出たことを分かっているから。愛されている今でも、頑張って視聴者に私はこんな女優だとアピールしないと、私はまた人々の頭から忘れられてしまう。それから、単純に私1人で演技だけを頑張ったらいいわけではないということも知った。1分1秒ごとに趣向が変わる世界なのに、視聴者や観客が好きな演技がどんなものか、私に望むイメージがどんなものかを分かっているからといって、そういう演技ばかり繰り返したりコピーしたりすると、そうしている私に真っ先に気付いて飽きてしまうのも、その視聴者や観客である。だから、次回作は映画「猫:死を見る二つの目」を選んだ。

―作品がホラーだと聞いたが、どんなキャラクターを演じるのか。

パク・ミニョン:猫を中心とする殺人事件が繰り広げられる心理ホラー。私は偶然、事件の糸口を知ることになって、刑事と一緒に事件を解決するキャラクターに扮する。ごく普通の女の子だけど、閉所恐怖症を患うキャラクターだ。これまで私が演じてきた人物とは正反対のキャラクターになる。実際、ホラー映画での女性キャラクターは「キャー」と叫んだりするなど、単純に描かれることが多い。でも、私が演じるキャラクターはそれらの映画では見ることのできない人物。この役だったら、私が欲張ってチャレンジしてもいいんじゃないかと思った。実は、クランクインまで2週間くらいしか残っていなくて、すべてのプロセスをより早く進めなければならない。幸いなのか、ちょうど携帯電話を落としてすべて電話番号が削除されてしまった。メッセージが来ても誰なのか分からなくて、返事ができない状態。こんなふうに徐々に寂しくなる練習をし、映画の撮影が終わる頃の2月にもう一度明るい姿で人々の前に現れるつもりだ。

「私自身がいい女優だと思えなくなったら、辞めるかもしれない」

Vol.2 ― パク・ミニョン 「私はまだ20代だから、十分迷ってもいい年齢だ」

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―今回の作品もキャラクターが立体的という理由で選んだが、韓国での女性キャラクターは立体的ではない場合も多い。

パク・ミニョン:それは仕方ないと思う。この時代に生まれたし、今の時代が望む女性キャラクターがそういうイメージだったら、その枠の中で最善を尽くすしかないと思う。そんな中でユニのようなキャラクターに出会えることもあるだろうし。最近は私に与えられたものが1だとしたら、その1を頑張るしかないと思うようになった。

―2を望んだりはしない?

パク・ミニョン:そしたら、私が作品を書くしかないから(笑) ただ同じ1を演じるとしても、周りが見た時に少しでも違いが感じられるような演技をやりたいと思う。たとえば、もしすべての女優がキャンディ(漫画キャンディ・キャンディの主人公、お転婆な少女の意味)を演じても、皆が同じ評価を受けるわけではないから。誰かのキャンディは良かったし、誰かのキャンディは古臭いと評されるとしたら、パク・ミニョンのキャンディは生々しく動いているという評価を受けたい。

―そういう違いを作り出していくのは台本以外のものだと思う。俳優の能力にかかったものかもしれないし。

パク・ミニョン:キャラクターをどのように生かすのかは、俳優の力量だと思う。「思いっきりハイキック!」の時は、どのようにすればいいかまったく分からなくて、与えられたものを私のやり方で解決してきた。走れ、走れと言われた時、私は全力で走ったけれど、これまで見たことのない女優の走り方だったと言われた。それで、脚本家の先生たちが全国大会で1位を獲得するエピソードを書いてくれた時に気付いた。同じチャンスが与えられても、そのチャンスを勝ち取って生かせるかどうかは俳優の力量であることを。もちろん、私が生かせたキャラクターもあるし、生かすことができなかったキャラクターもある。だけどユニは、ある程度生かすことができたキャラクターだと思う。たとえば、台本に「ご飯を食べる」と書いてあったら、私は可愛いフリをせず、キムチやわかめスープを口の中に一杯入れて食べる。私はそんな細かな部分から始めようと思っている。

―結局、キャラクターを理解するというのは、その人を理解するということなのでは?

パク・ミニョン:演技についてまだ分からないことがたくさんあるので、そこまで頭を使ってやるべきものが何なのかを考えたりはできない。でも、できる限り私のキャラクターを愛し、その子になりきろうとしている。それを考えたら走る演技でなく本当に走ることになる。知らない間におかしい顔になっているかもしれないが、全力を注いで走ることができる。それから、早く食べなくてはいけないから、可愛く食べる時間なんてない。家でご飯と色んなおかずを混ぜて食べるように食べればいい。キャラクターを一番愛することだけが、キャラクターを生かせる方法だと思う。

―自身が演じるすべてのキャラクターを愛する自信があるか。

パク・ミニョン:今までどのキャラクターも愛してきた。「幻の王女 チャミョンゴ」のラヒを演じる時も、この子はなぜこんなに馬鹿みたいなのかと思いながらも、1人でラヒを慰めようとした。私が演じたすべてのキャラクターを愛したし、これからはさらに愛するつもりだ。いつまでも新人でいるわけにもいかないし、演技の腕をさらに上げなくてならないから。演技は結果を見せる作業だから、私が努力したからといって認められるものではない。それでも、結果を見せることで「トキメキ☆成均館スキャンダル」の視聴率のように、徐々に腕が上がっているなと思われたりする。そうすることで、周囲の期待に応えることができる女優になれると思う。

―華やかにデビューしてスランプも経験し、もう一度人気を集めた、波のある20代を過ごしながら、少しずつ成長しているが、30歳になった時は、どんな女優になりたいか。

パク・ミニョン:私は近い未来の計画はうまく立てるけど、少し遠くなると分からなくなってしまう。30歳では……私が一番好きな仕事をしたい。

―それが演技ではない、他のものになる可能性もあるか?

パク・ミニョン:もちろん。他のものになるかも知れない。今はどうなるか誰もまったく予測できないことだ。今は演技をする時が一番幸せだけど、ある瞬間街を歩く途中、ギャラリーを見て「私はやはり芸術の道に進むべき」と思うかもしれない。なのに、そういう気持ちを抑えて2番目に愛する演技をしていたら、それは私自身に悪いから。まだ、20代だから、十分迷ってもいい年齢だと思う。今は最善を尽くしているから、もし私自身がいい女優ではないと思ったら、30歳まで続けないかもしれない。今感じている幸せを30歳でも感じているなら、その時は演技がうまい女優になりたいし、そうじゃなかったら幸せだと思える他の仕事をしたい。それが育児かもしれないし(笑) 先のことは分からないから。

記者 : ウィ・グヌ、写真:イ・ジニョク、編集:イ・ジヘ、翻訳:ナ・ウンジョン