【CLOSE UP】ムン・チェウォン ― 女性の香り

【CLOSE UP】ムン・チェウォン ― 女性の香り

写真=TENASIA

寒さのせいでかじかんだ身体が徐々に温まる時の気持ちよさ。ムン・チェウォンの声や言葉遣いからはそんな気持ちよさが感じられる。それはドラマ「風の絵師」で彼女が演じるチョンヒャンがキム・ジョニョンに向かって自分の考えを言う姿とはまったく違う感じだ。ドラマの中でチョンヒャンはキム・ジョニョンに「自分が欲しければ全財産を下さい」と言って「もったいないですよね。やっと集めた財産なのにね。力なく貧しい商人から奪ったりして集めた財産じゃないですか」と一言一言をはっきりと言う女性だ。しかし、普段のムン・チェウォンは外国で住んだことがあるのかと誤解されたこともあるくらい少し舌を転がして出す発音や低い声を持っている。
もしドラマの中のチョンヒャンのインタビューをするとしたら、彼女はどんな質問をされても短い答えを出すタイプなんだろう。でも、キム・ジョニョンの紳士的な態度に対するチョンヒャンの感情についてムン・チェウォンは好き嫌いとはっきり決め付けるより、「その人はチョンヒャンの心の中にいる人じゃないから」という言い方を取るタイプだ。そして、ある意味をはっきり決めつけない彼女の言い方は、自分に与えられた仕事に向かう彼女の態度とも繋がる。

 

私から大人の魅力が感じられたら、役を与えてくれるんじゃないかな

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自分の感情をあまり表現しない点からすれば、「風の絵師」で最も時代劇の人物らしいキャラクターは多分チョンヒャンだろう。自分は男ではないと明かしたユンボク(ムン・グニョン)に「女であることを隠して私をあなたの心の中にいさせたことを恨んでいました」と淡々と話す姿は、最近あまり見ない感情を抑えた別れのシーンだ。前作であるドラマ「走れサバ」や映画「うちの学校のET」で2作品とも制服を着て海外留学派のお嬢様と八百屋の反抗的な娘を演じたムン・チェウォンは、このドラマでは大人の演技までこなし、女優としての領域を広めることができた。でも、彼女自身はこのことについて女優としての発展の意味を持たせるより単純な流れとして受け入れている。「『大人の演技をするにはどうすればいいかな?』という疑問だけあって、大人の演技がしたいという確かな意思はなかった」この若い女優は、ただ「私から大人の魅力が感じられたら、それを誰かが見つけて役を任してくれるんじゃないかな」という考えでチョンヒャン役をやろうと決めたと言う。この役を足がかりにしてこれからもっと成長していくというようなありふれた答えではない、彼女ならではの答え。

 

ありきたりな決まり文句を消した新しい小説

【CLOSE UP】ムン・チェウォン ― 女性の香り

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実際、インタビューで答えてくれた事実を集めて概念化し意味を持たせる立場である記者からすれば、ムン・チェウォンは明るい笑顔と礼儀正しい態度にも関わらずあまり“親切ではない”インタビュー対象者だ。芸術高校に進学するために選んだ絵画や今やっている演技のように、彼女は彼女自身が選んだものが今の自分にとってどんな意味であるかを明確にするより、ただその時に偶然引かれたものを意味すると話す。たとえば、彼女は芸術高校時代、街でキャスティングをするために高校の近くまで来る芸能関係者を見て「演技をしたいとか歌を歌いたいというわけではなく、漠然と芸能界で働きたいという好奇心」だけを持ったと言う。しかし、そんな彼女が偶然負った火傷も気にせず、デビュー作である「走れサバ」のオーディションに行って「本当にやりたいです」と話した理由は、演技というもの自体に興味ができたからではなかった。ただ「思いっきり学生独特の若さを表現したい」と思い、その作品に引かれたからだ。

以前は絵を描くのが好きで、今は気に入る作品で演技をして、これからは何をするか分からない人。果たしてそんな彼女を女優という概念で定めてもいいか迷ってしまうのが事実だ。でも、皆が言う“良い女優として成長する”という決まり文句さえもまったく言わないこの新人の姿に興味があるのも事実だ。彼女を見ていると、まるですべてのありきたりな決まり文句を消した新しい小説を読んでいるような感じがする。どの瞬間も、新たなストーリーを描いているこの面白そうな小説。残りのページにはどんな文章を書いていくのか注目したい。
記者 : ウィ・グヌ、写真:チェ・ギウォン、編集:イ・ジヘ