イ・スンチョル、「強烈なメロディはないけど、独特のカラーがあります」

イ・スンチョル、「強い曲がないと思いますか?カラーを聞いてください」

写真=RUIエンターテインメント

タイミングのせいかな?イ・スンチョルのニューアルバムがリリースされた時、多くの人々が彼とチョ・ヨンピルを比べた。“歌王”に続く“歌唱王”の帰還であるためだろうか?実際、デビュー年や年齢だけでいえば、イ・スンチョルはチョ・ヨンピルよりかなり年が離れた後輩だ。それにもかかわらず、比較対象になる理由は、イ・スンチョルが歌謡界で独歩的な存在感を持っているからであろう。多くの人々が審査委員ではない、歌手イ・スンチョルを待ちに待った。6月12日にイ・スンチョルの個人作業室であるジンアンドウォン・ミュージックワックスで開かれた新しいアルバム「My Love」の発売記者懇談会を控え、予め聞いてみた新曲は全般的にゆったりした曲だった。歌唱力を誇る曲は1曲もなかった。彼の声と曲の雰囲気が重り、自然と耳に入ってきた。ハミングだけで自分を表現できる名人の実力も感じられた。美しいピアノ音で始まる1番目の曲「愛したい日」から今のイ・スンチョルを一番うまく表現した曲ともいえる「手が届きそうな遠い所へ」まで、9曲が流れた後、イ・スンチョルは軽く話し始めた。

イ・スンチョルは2年前から11番目のアルバム「My  Love」の作業に突入した。およそ60曲を集め、40曲ほどを録音した。この中、18曲は今回に公開されたパート1に、そして秋頃リリースされる予定のパート2、2枚のアルバムが発売される。トレンディな曲はパート1に、イ・スンチョル独特の正統ロックバラードはパート2にそれぞれ盛り込まれた。「最近、審査委員として活動しているので僕を注視する人が多く、方向性について相当悩みました。後輩たちの方向を導く曲、大衆的な曲、そして、僕の歌をすべて見せることがとても難しかったです。そのため、曲の雰囲気がそれぞれ違っていて、2枚のアルバムに分けてリリースすることになりました」

「My Love」のパート1ではトレンディなイ・スンチョルに会うことができる。「大衆歌謡は“ホット”な感じが重要です。これまで録音しておいた曲の中で『マリ花』『Never Ending Story』のようなスタイルの曲がありました……曲は良かったですが、僕は満足できなかったです。今年2月末から新しい曲を作るために再び作業を始めましたが、このニューアルバムが上手くいけそうな気がしました。それは、4~5日間隔で新曲を作ることができたからです。音楽作業は長い間準備することも重要ですが、瞬間的に思い浮かぶメロディも大事だと思います。最終的に一番最近作られた曲がアルバムに収録されることになりました。

人々がイ・スンチョルに望むものは“歌”だ。だが、イ・スンチョルは歌唱力を自慢するより、アルバムの完成度や流れに集中した。「これまでアルバムの作業をしながら、先に方向性を決めて作業に入ったことはほとんどありませんでした。OSTを作業する時は1曲に集中するタイプですが、今回はアルバムの収録曲の流れと調和を重視しました」

イ・スンチョル、「強い曲がないと思いますか?カラーを聞いてください」

写真=RUIエンターテインメント

歌い方に関しても以前と違いが感じられる。「『SUPER STAR K』では、支援者たちに自分らしい歌い方を見つけなさいと言いますが、僕のように長い間歌ってきた歌手は自分の歌い方だけにこだわると危険なことになります。それが自分の足を引っ張る場合もあるからです。今回のアルバムに“強い曲”が見えないと思いますか?“強い曲”は僕にいつもあったものです。今回はアルバムのカラーをどのように作るかに集中しました」「My Love」の音楽監督でありイ・スンチョルの音楽的なパートナーでもあるチョン・ヘソン作曲家は、「トレンディさを積極的に反映しました。今の現時点でイ・スンチョルという歌手が、どう進むべきかを見せてくれるアルバムです」と付け加えた。

「My Love」にはチョン・ヘソン作曲家が作った曲と海外作曲家が作った曲以外に、学生たちが作った2曲が収録されている。「ぐずぐずしたい」と「40分の電車に乗らなければならない」は、東亜(ドンア)放送大学の在学生たちが作った曲だ。イ・スンチョルなら有名な作曲家たちからいくらでも曲をもらうことができたはずだが、彼は意外な選択をした。東亜放送大学の学生たちが作ったおよそ40曲を検討し、その中で20曲くらいにとても満足したそうだ。「現在、実用音楽学科の学生たちは数千人を超えているにもかかわらず、その中でプロとしてデビューする人はごくわずかしかいないんです。一方、歌謡界にはチョン・ヘソンのような数人の作曲家が数百人の歌手を相手にして曲を書いています。もし僕が歌った学生たちの曲が関心を集めることができたら、他の歌手たちも彼らに曲を頼むはずですし、それによって歌謡界に曲を供給する大きな畑ができるのです。これはきっと意味あることだと思います」チョン・ヘソン作曲家は「チョン・スギョンさんが作った『40分の電車に乗らなければならない』は、その歳だからこそ書ける感性の歌詞で、とても新鮮で良かったです」と話した。

過去の愛を思い出す「愛したい日」には、イ・スンチョル独特の切ない感性がよく盛り込まれている。イ・スンチョルの妻から「この曲の主人公は誰なの?」と聞かれたそうだ。「昔の思い出が浮かび上がって、涙目になって歌った曲です。歌い方やテクニックより感性がよく目立つ曲です。こんな気持ちになって歌ったのは、『LAST CONCERT』以来、初めてだと思います。もう一度、歌って欲しいと頼まれても歌えないと思います」「手が届きそうな遠い所へ」には外国人作曲家と演奏家が参加した。この間チョ・ヨンピルが外国人作曲家が手がけた「HELLO」「BOUNCE」の曲をタイトルにした反面、イ・スンチョルは外国人作曲家の曲に大きな比重を置かなかった。「外国人作曲家が作った曲をもらってハングルの歌詞をつけると、何となく違和感が感じました。まるで、翻案曲(外国ですでにリリースした楽曲に韓国語の歌詞をつけた曲)のような感じがしました。そのような理由で、外国人演奏者の伴奏はそのままにしておいて、チョン・ヘソン作曲家がほぼ再建築するような感じで曲を修正しました。もう外国人から曲をもらうことはあまり意味がないと思います」

 

イ・スンチョル、「強い曲がないと思いますか?カラーを聞いてください」

写真=RUIエンターテインメント

今年でデビュー28年目を迎えるイ・スンチョルは、3~4年周期でアルバムをリリースしてきた。「My Love」は40代を振り返るアルバムになるだろう。「12年前に僕のスタジオを建てた時が、IMF(1997年に起こった韓国の経済危機)で、アルバム産業は下り坂へ向かっていました。それにもかかわらず、大金をかけてスタジオを建てた理由は、僕が年をとって誰も僕のアルバムを制作してくれない時に備えるためでした。僕はこの空間がとても大切です。歌手を辞める日までここで作業するつもりです」もはや50歳を間近に控えているが、彼は依然として悪童のイメージを持っている。気楽なイメージは無理して作ろうとしても作れないものなので、自分は恵まれてると思っていると言った。18日午後、8時には光化門(クァンファムン)広場でニューアルバム発売のショーケースを行う。この日、現場では自分の流行語である「オソワ(“早く来て”という意味)」のパロディーコンテスト「オソ王」の選抜大会も行い、審査はパク・ミョンスが務める予定だ。

写真提供:RUIエンターテインメント

文:クォン・ソクジョン、編集:ホン・ジユ、翻訳:ナ・ウンジョン、日本語編集:チェ・ユンジョン