【THE SCENE】「世界のどこにもいない優しい男」の痕跡を追って

「世界のどこにもいない優しい男」の痕跡を追って私も知っている、もうそこに行ってもカン・マルはいない。せめてマルの友人、チェギル(イ・クァンス)のように身長の高い男性の影でも……探したがいるはずがなかった。それでも仕方がない。ドラマに登場する場所まで行って「00が来ていた。ジュンギ♥00」と書いて、ポストイットでも張っておかないと、気が済まないのがドラマオタク女子の人生だもの。KBS「世界のどこにもいない優しい男」(以下、優しい男)のロケ地を探すのは、かなり手間隙がかかる。それはまるで、カン・マル(ソン・ジュンギ)とハン・ジェヒ(パク・シヨン)の社会的位置の格差みたいに、それぞれの空間が物理的に遠いからだ。カン・マルが立っているだけで絵になる貧民街の黄色い正門から、カン・マルとハン・ジェヒがデートを楽しんだ大学のキャンパス、そして物心がついてから知ったことだが、自分の名前がチョコ(イ・ユビ)という、笑うに笑えない不運の子、チョコが働いているカフェまで。カン・マル病という治せない”痕跡追い病”を患い、ドラマだけを何度も繰り返し見ている可哀想な女性がドラマの痕跡を追ってみた。

「世界のどこにもいない優しい男」の痕跡を追って「母さんに角が生えた」(2008年)のコ・ウンア(ジャン・ミヒ) は、将来のお嫁さんがこの街に住んでいると聞いて、「そこはどこなの?」と尋ねる。貧乏な家庭で育った女性と裕福な家庭で育った男性の恋物語を描くドラマでは、必ず貧乏な女性が貧民街に住んでいる。その街の名前はまさに貞陵(ジョンルン)だ。「建築学概論」でイ・ジェフンとスジの初々しい出会いの空間もここ貞陵(ジョンルン)だ(丁若鏞(ジョン・ヤクヨン)の陵墓がある所ではない)。ドラマのカン・マルの家に到着するには、忍耐力と丈夫な両足を持ち、シャトルバスから降りて坂道を上らなければならない。貧民街と映されているが、意外と簡単に探せるので、ドラマで登場した以来、多くのファンたちが相次いで足を運んでいる。それでも念のために、徹底的に調べてから訪ねてみよう。行く途中、スーパーの人に「あの、カン・マルのお家はどこですか」と聞くのはあり?なし?

「世界のどこにもいない優しい男」の痕跡を追ってカン・マルが横になると、まるでニューヨークのセントラルパークの芝生のように見えるが、実は男の人は教授しか見えないまさに“女子大学の芝生”なのだ。ソウル女子大学のサンカク森に直接行ってみると、ドラマで見てきたように大きくなく、こじんまりした芝生が綺麗なところだ。鬱蒼とした木の向こうにヨーロッパー風のキャンパスの建物があり、 散歩コースとして近所の住民に人気がある。ここを訪れる時は、カン・マルのようにカーディガンを肩にかけて(胸元で袖を結ぶセンス)、芝生の上に横になって空を見上げてみよう。一人で見上げる秋空の風情に涙がポロリとこぼれてくる。私はちっとも寂しくない。ただ少し感受性が豊かなだけだ。

「世界のどこにもいない優しい男」の痕跡を追ってふと気付いたら、兄がソン・ジュンギだ。でも、私の名前はチョコ。あ、私がチョコだなんて。カン・マルの妹、チョコが“ホットチョコレート”を売っているカフェの名前は、 ZOO COFFEE (ジュンドン店)だ。“都会の中の動物園”というコンセプトのこのカフェには本物の動物はなく、トラやキリンのぬいぐるみしかない。ソン・ジュンギの代わりにトラのぬいぐるみでもそっと抱きしめてみよう。ここでもう一度涙がポロリ。

•貞陵(ジョンルン)3洞ボクスンアバッコルㅣ国民大から貞陵(ジョンルン)3洞方面、西京大方面の左側(テミョン教会方面)

•ソウル女子大のサンカク森ㅣソウル市蘆原(ノウォン)区花郎路(ファランロ)621(地下鉄6号線の花郎台(ファランデ)駅で下車)

サンカク森は第1科学館と第2科学館の近くにある

•ズー・コーヒー中洞(ジュンドン)店ㅣ京畿道(キョンギド)富川市(ブチョンシ)遠美区(ウォンミク)中洞(ジュンドン)1106(地下鉄7号線の新中洞(シンジュンドン)駅で下車)